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「風間監督とグアルディオラの共通点」ACLグループH 川崎フロンターレ-ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ

小野伸二擁するウエスタン・シドニー・ワンダラーズのホームで対戦した前節の試合では、0-1と敗戦してグループリーグ敗退の崖っぷちに立たされた川崎フロンターレ。

この試合でもボールを支配しながら前半の24分に小野のCKから先制点を奪われ、その後も攻めても攻めても得点にはつながらずに悪いムードが漂ったのだが、74分に大黒柱中村憲剛のクロスが相手に当たって同点に追いつくと、試合終了間際に大島のミドルシュートが決まってやっとこさ逆転勝利を決め、まだ得失点差で3位と厳しい立場ながらも決勝トーナメントへの望みをつないだ。

と試合の流れを書いてしまうと、いかにも日本代表が中東のアウェイでやらかすような、ボールは保持するけどちっとも決定的なチャンスを作れないサッカーを思い浮かべてしまうのだが、試合のスタッツでは川崎が64%のポゼッションを記録し、シュート25本のうち枠内が9本と、決定力こそ欠けてはいたがチャンス自体の数はたくさん作れていたように思う。

その要因となっていたのは、引いた相手に対する崩し方。相手がコンパクトな2ラインを自陣に引いた場合、各選手が流動的にバイタルエリアに出入りを繰り返し、外から中、中から外へとパスをつないで守備陣形ズレを誘い、出来たスペースに中盤の選手がスルスルと裏抜けして短いパスを遠し、そこからクロスや折り返しを合わせるというもの。

ここでも何度か、風間フロンターレはゲーゲンプレッシングの弱いバルサ(グアルディオラ)サッカーだと書いたことがあるが、まさに前の日に見たチャンピオンズリーグのマンU対バイエルンの試合で、バイエルンがマンUの引きこもりディフェンスに対して行っていた動きをなぞるかのようなプレイぶりで、同じようにチャンスを作り出していたのが興味深かった。

ただ、そんなサッカーがどのチームでも出来るかというとそうではなくて、川崎にとってはやはり中村憲剛の存在が極めて大きい。常に早いタイミングでスパスパとバイタルエリアに縦パスを通す技術と戦術眼は現在でも日本選手随一で、遠藤のバックアップとして代表でも不可欠のように思うのだが、今回の国内組合宿では選ばれなかった。ザックによると、大久保や佐藤寿人らを含めてベテランの力量は把握しているからと語ったそうだが、5月の最終選考ではどういう結果が待ち受けているのだろうか。

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