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「まだぬか喜びをしてはいけないと思う」イングランド・プレミアリーグ第32節 

土曜日の(日本の)ゴールデンタイムで香川が先発&快勝なんて、いったい何年ぶりかと思うぐらいに久々にスカッとする気持ちになれたね。しかし、あれだけヤングとバレンシアのクロスマシーンにこだわっていたモイーズが香川とマタの共存を選ぶとは、とても同じ人間とは思えない(笑)。

ただ、その共存が上手く行けたのは環境的な要因が大きくて、まずは最近のマンUにしてはラインが高めで守備がコンパクトになっていた事。それはリオ・ファーディナンドが居ないからというのもあるが、フレッチャーとフェライニはクレバリーのようにあちこち動かず、バイタルのスペースをきっちり埋めて強固なゾーンを形作れているためである。

今までだとラインが低いためにサイドに張っていても孤立するので、ボールを触りたい香川は中に入ったり後ろに下がってボールをもらいに行く必要があり、またいちいちカバーリングのために低い位置まで戻らざるを得ず、それが余計に繊細なパスセンスに欠けるマンUの選手にとっては香川に対してパスを出せない原因になっていた。

ところがこの試合での香川は基本的にサイドのポジションを保ち、そこで安定して中盤からボールを受けることが出来ていた。インテルでの長友のようにマンマークを受けてないのもあって、楽々と前を向いてプレイする事が出来ていた。そして高い位置で基点を作り、そこからDF裏に抜けて細かいタッチでチャンスメイクという香川がサイドで得意とするプレイを連発していた。

当然、サイドでフリーになれる状態はマタにとっても好都合で、試合の途中から香川とマタがポジションを交換する場面が見られ始め、もともと似たビジョンとプレイスタイルを持っている選手だけに、香川からマタ、マタから香川のラインも濃くなり、これだけ自由に彼らをプレイさせれば強いのは当然である。

香川は68分、ルーニーは75分で交代したが、特に何か大きな疲れや問題があったわけではなく、チャンピオンズリーグのバイエルン戦に向けての温存ではないかと思われ、これで香川が先発起用される可能性はかなり高くなったのではないかと思う。

ただし、これがバイエルン相手に同じような内容のサッカーが出来るとは思わない。香川がトップ下で出たとしてもラームにきっちりマークされるだろうし、サイドであってもプレスの早さ、攻守の切り替えの早さはザル状態だったアストン・ビラとは比較にならない。香川が出場したとしても、どれだけ高い位置で香川の細かい動き出しにパスを合わせられる選手がいるかどうかが善戦(勝利ではなく・・・)の鍵になるだろう。

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