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「大久保が代表に選ばれない理由」J1第1節 川崎フロンターレ-ヴィッセル神戸

昨シーズンは終盤に調子を上げてACL出場権を確保した川崎と、J2から1年で復帰して着実な補強をして来た神戸の対戦は、今シーズンの活躍を十分に期待させる好ゲームになった。

しかし両チームのサッカースタイルは実に対照的。神戸は教科書のように完成度が高いコレクティブカウンターが売り物で、セレッソから移籍したシンプリシオを中心とした強固な守備ブロックがボールを奪うと、マルキーニョスとペドロ・ジュニオールがボールを受けて基点を作り、中盤を経由して茂木と高橋峻希がスピードに乗ったオーバーラップを仕掛けるスピード感が素晴らしい。

ネックとしては、外人3人の能力が高いがゆえに、彼らが怪我や疲労で働けなくなった場合の選手層に不安があるところ。昨年の屋台骨だったエステバンが抜けたのも地味に痛い。守備組織はある程度しっかりしているので降格圏に至るような大崩れは無さそうだが、ACLを目指すなら全体的な戦力の底上げが欲しい。

川崎は、やっとこさ風間監督が目指すグアルディオラ風鳥かごサッカーが本領発揮の印象。ただしバルサやバイエルンと違うのはゲーゲンプレッシングが徹底されておらず、2列目でプレスのフィルタがかからないとあっという間にシュートまで持っていかれるところ。この試合でもその甘さを神戸にまんまと突かれて同点に持ち込まれてしまった。つーか、正直風間監督がそこまで守備を考えているかは非常に怪しい(笑)。今年はACLもあるし、夏場の試合でプレスが効かなくなった場合に、どういう修正を出来るかが今期のポイントになりそうだ。

あと、昨年の得点王である大久保をなぜザックが代表に呼ばないのかという論調があちこちで見られるようだが、個人的にはおそらくこのまま選ばれる事は無いだろうと思っている。その理由はベテランに対するザックの選考基準がはっきりしているからである。

おそらく、ザックは2014年の後の事も考えているのだと思うが、過去には常連だった前田、栗原、岩政はすっかり置き換えられてしまったように、同じポジションで能力的に大きな差がない場合は明らかに若手を優先している。

でも遠藤や駒野、今野、中村憲剛といったブラジルW杯が最後になると思われる選手が選ばれているじゃないかと反論を受けそうだが、彼らに共通しているのは例え控えになっても裏方として骨を折る役割がこなせるところだ。遠藤は少し意味合いが違うが、もし彼が控えになったとしてもその点では問題無いはず。闘莉王はこの点で完全にアウトだが、大久保については現在のレギュラーから怪我人が出た場合、まだチャンスは残っていると思う。性格的にもだいぶ丸くなったようだし。

2002年W杯の本番で、トルシエは若手中心のメンバーを組みながら、本番では中山と秋田というベテランを加えてサポートに回らせた。監督の性格は全く違うが、ザックが似たような考えを持っているのは興味深いところだね。

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