サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「セードルフ監督が本田に求めるものとは」イタリア・セリエA第25節 サンプドリア-ACミラン

ミランのトップ下レギュラーであるカカーが欠場したにも関わらず、本来のトップ下ではなくて右サイドでの起用、しかも新加入のターラブトが2点目を挙げたのに対し、本田自身はまたもや結果を出せず、香川と同様に今後の立場が厳しくなったように見えるかもしれない。

しかし逆に言えば、セードルフ監督は本田を右サイドに置くことに確固とした戦術的な狙いがあり、それに対して本田と意見を共有できているのではないかと思っている。そうでなければ、CSKAモスクワでボランチとしての起用にはっきり反対意見を表明し、たとえ起用された場合でもほとんど本来の戦術的な役割を果たさなかった本田としては、カカーならともかくサポナーラよりもトップ下での優先順位が下という立場に納得して従っているとは考えられない。そこが、香川やマタといったテクニシャンの使い方が分からずに適当にサイドへ押し込んでいるモイーズとは根本的に違うところだろう。

その狙いとは間違いなくポゼッション。サイドの高い位置でボールをキープする事で相手のラインを下げ、バイタルまで中盤が押し上げてサイドチェンジやミドル、セカンドボールの獲得を行いやすくするためである。この試合でも何度か左足から逆サイドへのクロスを上げていたように、右で相手の守備を引きつけて左で決めるという、代表で香川がやっている役割を本田がしているようなもので、それでターラブトが得点を決めても本田の優先順位が下がるわけではないと思っている。

まあ、それを本田自身の口から明かしているわけではないし、やはりミランの10番を背負っている以上は結果を出せなければマスコミの標的になるのは仕方ないところだが、そこを守るのはセードルフ監督の役割であり、現状ではその姿勢に揺らぎは無い。相手によっては戦い方を変更して本田が起用されなかったりするかもしれないが、監督の言動が大きく変わらない限りは一喜一憂すべきではないと考える。

それよりも問題なのは、パッツィーニと違ってスペースメイクしないバロテッリの起用法だろう。本田はパスコースがあってナンボの選手なので、いくら本田が戦術的な役割をこなしていてもバロテッリが動かなければ全く意味が無い。89分間遊んでいても1分で結果を出す力があるので話はややこしい(苦笑)。エトォにSBをやらせたモウリーニョのように、彼を洗脳できるかどうかがセードルフ体制成功の一番の鍵ではないだろうか。

モバイルバージョンを終了