サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「香川は天敵に囲まれて沈黙」イングランド・プレミアリーグ トットナム・ホットスパー-マンチェスター・ユナイテッド

前回のCLでレバークーゼンに5-0と大勝し、これで香川はトップ下のレギュラーに定着するのではないかという観測が出たのに対し、個人的にはまだプレミアじゃ厳しい面があるのではと書いたのだが、やはりその懸念が当たってしてしまったかという感じ。

スパーズは、トップ下の香川に対してボランチのデンベレとパウリーニョという屈強な選手をしっかりマークに付け、前線から激しいプレッシャーをかけてマンUのジョーンズとクレバリーのボランチにパスを出させず、中央のラインを完全に寸断してしまった。そして左ウイングに入ったウェルベックが真ん中に入りたがるために、香川がボランチの位置まで下がってボールを受けに行き、エヴラが左サイドで1枚になって孤立、そのためマンUの展開は右ウイングのバレンシア頼みになってしまった。

フルハム時代に香川が対戦してフィジカルに驚いたデンベレ、そしてコンフェデのブラジル戦で散々やられたパウリーニョという、言わば天敵2人にマークされた上に後ろからはほとんどまともなパスが来ず、香川がゴールに絡むには右サイドからのクロスに合わせるか跳ね返りのセカンドボールをものにするかの2択になってしまったのではどうしようもない。そういう仕事ならまだウェルベックが中に居るほうがマシだという事で、香川は途中から左サイドに回らされる羽目になった。

当然ながら左サイドに回ってもジョーンズやウェルベックがサポートに来てくれるわけでなく、勢いで勝るスパーズに対して守備のカバーリングに戻るばかりで前へ進めず、もっと早く代えられるかと思ったが意外と84分まで引っ張っての交代。チームも内容的にはスパーズに押されていたものの、相手のクリアミスを拾ったルーニーのシュートと、ウェルベックの事故のようなPKでラッキーな同点で終えられた。

こういう試合で難しいのは、単にボランチにキャリックやギグスが入れば香川が活きるとは単純に行かない点にある。ACLで中途半端なパスサッカーが中韓クラブのフィジカルプレスにやられるように、パスで交わすならガンバのようにビルドアップでポンポンと2~3本のダイレクトパスで回せるようにならないと相手のプレスの足を止める事はできない。つまり、チーム全体でパスで行くんだという共通理解が無いと、スパーズのような相手に香川が中心となった攻撃を機能させる事は難しい。

三歩進んで二歩下がる。今の香川にとって最も相性が良くないチームと当たってしまったという面はあるが、どのみちこういう時にも活躍できないとビッグクラブのレギュラーは務められない。当面は、地道にチームの為に身を粉にして働くリンクマンとして我慢しながら、フィジカルサッカーにも個人で対抗できるスキルとパワーを磨いていくしか無いだろうね。

モバイルバージョンを終了