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「世界ランク5位のホームにまさかの金星」国際親善試合 ベルギー-日本

試合前の展望では、いつもの「ベストメンバー」で臨んで中2日の疲れのおかげでベルギーの高さにやられるのでは、という予測を立ててしまっていたのだが、これだけ豪快に外してしまったのは最近ではほとんど記憶が無い。まあ、こんな大外れなら何度でも大歓迎なんだけどね(笑)。

まず第一に謝らないといけないのはザックに対して。セルビア戦やベラルーシ戦の硬直的な(?)メンバー起用から打って変わって久々に勝負師としての顔を覗かし、コンディションと相手の特徴を抑えた起用、特にDFに両酒井と森重という高さのある選手を使い、ベルギーのハイボール攻撃に対してしっかりと手当して来た。

選手交代も的確で、後半から遠藤と岡崎を入れて前に出てくるであろうベルギーの裏を狙わせて2点を追加しての逆転、そしてベルギーが2点目を入れた後には、ボランチの位置まで下がってフリーでゲームメイクをしていたフェライニに対して細貝を入れて封じるなど、試合の流れを読んだ手当ては非常に効果的だった。

そして何よりも。2戦を通じて守備のラインが高くコンパクトで、ミスや高さに負けての失点はあったけども足元から崩された場面がほとんど無かった守備組織が素晴らしかった。と言うか、それだけに酷いミスからの2失点がかえって目立ってしまうんだけど。どうにかならんのかね~あれは(苦笑)。

個人的なMVPとしてはやはり本田。ゴールはもちろんだけど、マンマークで抑えに来ていたヴィツェルを逆にマークし返し、彼にほとんどゲームメイクをさせなかった働きが本当に大きかった。そんだけのスタミナと右足キックを持っているんだからちょっとはリーグ戦で本気出せよと(笑)。まあこれでミランに行っても安心だろう。

柿谷も1G1Aとオランダ戦で良かった大迫と同じく結果を出し、新たな嬉しい悩みとなってくれた。香川も持ちすぎの嫌いはあったしパスの精度がぶれて本調子では無かったが、忠実な守備と仕掛ける意識に成長が見られた。とにかく今回は全員が良く走って規律を守ったなと。

ただ、反省点も無いわけではない。先制点のミスは言うまでもないが、それに至るまでに日本はベルギーの厳しいクサビへのマークに対して無理なショートパスを繰り返し、特に本田が狙われて危ないカウンターを食らっていた。その後は本田が右に流れて香川が中に入る事で修正したが、前回の欧州遠征と同じ過ちをしてしまったのは残念。

それとベルギーの2点目。その前から森重のパスミスや前線のキープミスなど、中2日で疲れがあったのだろうが雑なプレイが急に増えて、せっかく相手陣内にボールを運んでも無駄なロストでむざむざペースを明け渡してしまった。この辺が、まだまだ歴史ある強豪国との大きな違いだろう。

強豪国と言えば、試合前日の本田が「ベルギーはまだ歴史のある国じゃない」と物議をかもした発言があったが、後半にふわりと試合に入ってしまって遠藤にフリーでアシストされた場面は、日本も良くやってしまうがやはり少し前まで中堅国だった経験の無さを感じたかなと。

そう考えると、ベルギーに勝った事は素晴らしい結果だけど、これをW杯本番で強豪国相手にやってのけるにはまだまだ1段階2段階と成長していかなければならないなと、改めて気が引き締まる思いを持った試合だった。

 

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