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「まだまだバルサの域には遠い」U-17ワールドカップ グループD 日本-ベネズエラ

欧州王者のロシアに続き、南米2位のベネズエラをも3-1で一蹴し、ベネズエラの監督からは「これほどの素晴らしいサッカーには出会ったことがない」と言われるなど、UAEで快進撃を続けているU-17の96ジャパン。

ここまで激賞されると、やはり天邪鬼な自分はつい疑念の目で見てしまうもので(笑)、その視点からするとベネズエラ戦の前半はまだまだこのチームには課題が残っているなと思わされた。

吉武監督自身も「選手を広げられた」と語っているように、ベネズエラは日本に対して前からプレッシャーをかけてきて、3バックはそれほど上がらずに敢えて中盤を間延びさせて来た事で、日本の布陣も縦に広げられ、いつものボランチとの細かいパス交換や、ゼロトップが下がってワイドトップがそのギャップを突くといった、日本が得意とする形がなかなか出せなかった。

こうなると「自分達の形」が狭い事が多いユース年代は打つ手が無くなってしまうのがパターンなのだが、さすがに吉武監督は二の矢を準備していて、相手の3バックの裏へロングパスを通す手段に出て来た。が、ショートパスは正確な日本もロングは筋力の問題で精度を欠き、本来意図した攻撃にはなっていなかった。日本は早い時間に先制したが、それはベネズエラの守備の寄せが緩慢だったおかげであり、前方プレスを行いつつサイドを捨てて中央を固める手段は、日本に対して有効なのは間違いないだろう。

さらに日本にとってラッキーだったのは、8人を代えてフレッシュな日本に対し、ベネズエラは後半早々にガス欠気味になってしまった事で、そこからは前方プレスが無くなって日本は組み立てし放題、相手の守備ギャップを突いてパスを通す攻撃でチャンスを量産するものの、今度はことごとく決定機で決められない。相手のGKが良かったというのもあるが、それにしてもシュートが皆素直すぎるのが気にかかる。

香川のようにGKの目の前でフェイントを入れたり、レヴァンドフスキのようにシュートをあえてダフらせてGKのタイミングを外したりと、世界のトップスコアラーは0コンマ、いや1/100秒の世界で駆け引きをするのが常識なのだが、残念ながらそういったタレントはこの世代にはいないようだ。その意味で興味深かったのが仲村京雅君で、2点目の起点となったダブルタッチからのスルーパスは見事で、こういう局面での1対1を制して相手のゾーンを大きく崩す形を作っていかないと、決勝トーナメントで勝ち続けて行くのは難しい。

これで日本は早々に決勝トーナメント進出を決めたわけだが、次の相手は日本と同じく2連勝を挙げていて、日本が前回の対戦で負けている相手。互いにターンオーバーしてくる試合になるだろうが、戦術よりも個人能力の部分での勝負をチェックしてみたい。

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