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「今更心配しても始まらないが・・・」国際親善試合 セルビア-日本

9月の欧州遠征の第1戦は、スタンコビッチの引退セレモニーでお祭りムードになっている、W杯敗退が決まった1.5軍のセルビアに対し、日本は1点も入れられずに完敗という結果に終わってしまった。

水を得た魚のようにはしゃぐ某御意見番を始めとして、「このままでいいのか」という危機感がTwitterにも充満しているが、個人的にはそこまで追い詰められた気持ちにはなっていない。

その大きな理由は、ノビサドのピッチがボコボコでグラウンダーのボールがポンポン跳ねる状態だった事。最初に日本がいつものように縦パスで岡崎や香川にクサビを入れようとしたらトラップで大きく跳ね飛ばしてしまい、空気読めない吉田を除けば(笑)そこからは安全に足元へとつなぐパスに選手が切り替え、日本の得意な早いタッチでのパスワークが封じられてしまった。長谷部や本田のサイドチェンジが届かなかったりしたのもピッチの影響が大きかったように思う。

とは言え、セルビアの選手はそんなピッチでも正確にサイドチェンジをし、強い体を活かしたキープでしっかりボールをつないで来たのだが、今更その部分をセルビア並にしろと言っても無理だし、W杯本番でこういうピッチはまずあり得ないわけで、岡田ジャパンのような専守防衛サッカーでいいならともかく、日本は日本の得意とするサッカーで勝負するしか無い。

ザックもその辺は割り切っているようで、日本のサッカーが出来ない事が分かっていながら、細貝やハーフナー・マイクでは無くて怪我明けの遠藤や試合勘が鈍った香川、線の細い柿谷を使って来たのを見ても、勝敗よりもとにかくベストと想定しているメンバーに経験を積ませることを優先した事は間違いない。

そういう手枷足枷を嵌められた状態でも、それなりに選手が自分たち自身で対応し、サイドで丁寧にパスをつないでの崩しから、3度ほど決定機を作り出せたのは評価出来る。さすがにプレミアの1線級で活躍しているセルビアDF陣は身体能力があって反応が早く、最後の最後で足を出してきて得点にはならず、数はそれなりに揃っていたのに2点を決められた日本のDFと比べると悲しくなるが、組織的な守りという点ではコンフェデやウルグアイ戦からは向上できていたのも事実。

とにかくW杯に向けてはっきり残った課題は2つ。1つは、球際の強さと自陣PA内での反応速度を上げる事。この試合でも、3人がかりでマークに行きながらパスを繋がれてしまったり、1対1であっさり入れ替わられてしまったりと、判定がセルビア寄りで難しい面はあったにせよ、やはりマークに着いたのならそこでしっかり止めて行かないと、結局無駄に走らされて疲労が募り、後半の内容にもつながってしまう。PA内での反応は言わずもがな。特に遠藤と今野はJ2の試合しかしていないので、今後のテストマッチで意識を上げて行くしか無い。

もう1つは1トップの人選。スペースが狭い中では仕事がほとんど出来ない柿谷、背が高くてもポストプレイが不安定なハーフナー・マイクと決め手に欠け、結局岡崎がトップに入った時が最も可能性を感じたのは皮肉。柿谷をファーストチョイスにするならもっと彼の活かし方を考えないといけないし、そうでなければ大迫や豊田を再び俎上に乗せる必要があると思う。

ベラルーシ戦は、おそらく選手を何人か入れ替えての試合になるだろうから、セカンドグループからの新しい息吹を期待したい。

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