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「やはり長谷部もアンカーではない」ドイツ・ブンデスリーガ第7節 ブレーメン-ニュルンベルク

勝ち点で5の差がある上位チームとのアウェイ戦、清武が1得点1アシスト、それも2点を先制されながらも最後は追いついてのドローと、ニュルンベルクにとって悪い結果じゃ無かったのは確かだけど、個人的には残念に思う部分が少なくない試合だった。

それは、前半のニュルンベルクが見せたあまりのザルっぷり。とにかく全てのフィールドプレイヤーが4-2-3-1の基本ポジションからほとんど動けず、その間に侵入してくるブレーメンの選手とボールが全く止められず、よく2点だけで済んだなという酷い内容だった。

そういう試合は当然どんなチームにもある事だけど、その被害を最小限に食い止められるかどうかの鍵は、ボランチの選手、それもアンカーと呼ばれる守備的な役割を持つ選手の働きにある。相手の猛攻の中でもボールの流れを読んだポジショニングを取り続け、時にはDFラインにまで入ってクロスを跳ね返し、たった1人でボールをキープしてつなげて見せる、Jリーグファンには良く知られたフレーズである「残念、そこはシジクレイだ」がそのまま表現している、ピッチ上で孤軍奮闘する姿こそが、一流のアンカーである証だ。

しかしこの試合での長谷部はそうではなかった。いや、確かに後半からはほぼ1ボランチのアンカーとしてまずまず良い働きは見せていたけど、それはドゥルミッチが入って中盤ダイアモンド型の4-4-2に近い形になった事で、前線3枚によるプレスが効いてパスコースにフィルタがかかるようになったおかげでポジショニングがやりやすくなったわけで、代表でもそうだけど前線からプレスがかかって初めてボランチとして機能する選手なんだなと痛感させられた。

同じ代表でアンカー役として見られている細貝も、今やドイツではすっかり攻撃的なボランチとして前線からのプレスに参加しまくる役割が板についてしまったし、やはり世界的なレベルでアンカー役が出来る選手は日本にはいないのでは、という疑念は確信に変わりつつある。今野や吉田はもしかするとアンカーとしては彼らより適しているかもしれないけど、今からザックがそこに手を出すとは考えづらく、W杯本番で守備固めの必要性が出て来た場合はどうするんだろうという思いはより強くなってしまった。

それはある意味では清武にとっても同じ事で、後半の活躍を見ても彼の前に選手が居てこそ能力が発揮できる選手であり、世界的に見れば2列目としては個人打開能力と得点力に劣り、ボランチとしては守備力が全然足りない。「良い選手」どまりの状態からどうブレイクスルーするのか、そろそろしっかりした方針固めが必要なのではないだろうか。

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