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「ブラジル3-0スペイン&日本」コンフェデレーションズカップ決勝 ブラジル-スペイン

まさか世界王者のスペインが試合開始直後に失点し、前半の終わりと後半の立ち上がりにも失点という、まるで日本のようなやらかし方をして負けるとはさすがに想像もしていなかったね。
日本もコンディションが悪かったとは言え、同じスコアでブラジルに負けたからスペインと日本が同格とはとても言えないわけで、それだけ中1日少ない状態で準決勝のイタリア戦で120分間の死闘を戦った疲労が影響したのは事実だろう。
特にスペインは、彼らの強みであるボールポゼッションを高めて全体のゾーンを高い位置に上げ、ボールを奪われてもその高い位置からプレッシャーをかけて奪い返し、ショートカウンターのセカンドエフォートをかけ続けるという、今風に言うと「ゲーゲンプレッシング」の片鱗が見られたのがせいぜいウルグアイ戦のみで、イタリア戦やブラジル戦が単なるゾーンディフェンスに成り下がっていた事を考えれば、彼らのコンディションやモチベーションはあまり高くなかったのが正直なところだろう。
事実、ブラジル戦の3点目ではスペインがボールを奪われてから、中盤の選手がジョギングしたままで誰もフレッジへのカバーに行っておらず、2点差の逆転が不可能と悟ったハーフタイム中に、彼らの頭の中は明日からのバカンスのプランニングへと切り替わっていたのかもしれない(笑)。
なので、巷でしきりに囁かれているスペインの凋落というレッテルに対しては簡単に頷けるものではないと思っているが、それでもブラジルがスペインのようなパスワークを誇るチームに対して大きな武器を手にした事は間違いないだろう。
ブラジルの成功は、全員が労を惜しまないハイプレスからネイマールを基点としたショートカウンターにあるというのが衆目の一致するところだが、ブラジルのハイプレスがひと味ちがうところは、相手に対峙する距離が非常に狭いところにあると思っている。
普通のチームであれば、スペインに対してはプレスをかけてもある程度距離を置いて、簡単に抜かれない事を考慮に入れながらプレイしているのだが、ブラジルの選手は遠慮なくどんどんと距離を詰めて行き、前方向のパスコースを消されてスペインの選手が迷っている間に2人目、3人目がやって来る。SBのマルセロやダニ・アウヴェス、CBのダビド・ルイスでさえ、気兼ねなくピッチの中央や高い位置でガンガンと当たっている。
それが出来るのも、グスタボとチアゴ・シウバの高いカバーリング能力があってこそで、後ろへの絶大な信頼感があるがゆえにあれだけポジションフリーなハイプレスが仕掛けられるのだろう。逆に言えば、そのプランは分かっているので、ブラジリアンハイプレスを打ち破る手段を考えたチームが、ブラジルに対する挑戦状を獲得できる事になるわけだ。そういうチームが来年に出て来るのを楽しみにしたいね。

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