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「スペインの手抜きは良い手抜き?」コンフェデレーションズカップ グループB スペイン-ナイジェリア

得失点差から考えてほぼ決勝トーナメント進出が決まっているスペインと、スペインに対して4点差以上での勝利が必要なナイジェリアという微妙な対戦は、試合開始わずか3分にスペインが先制してしまったので、その後はスペインが完全に省エネサッカーに切り替えて試合の醍醐味自体はすっかり無くなってしまった。
先制点を奪った後のスペインは、お得意の攻撃でのパスコース作りや高い位置からのプレスがすっかり消え去り、ほぼ後ろで4-4のゾーンを作ったままナイジェリアの攻撃を受け止める、というやり方になってしまっていたのだが、やはりスペインの体格ではそういう守備ではナイジェリアの個人能力を受け止められず、吉田ばりのやらかしやエルナンデスに決められた時のようなアーリークロスへのマーク外しと、ナイジェリアの決定力が壊滅的だったので点にはならなかったが、3点は取られてもおかしくないザル状態ではあった。
ただ、それでもボールを跳ね返した後のDFラインの押し上げや、サイドの高い位置にボールが来た時のラインの統率については、常にCBが左右を確認しながら調整をしていて、日本のように個人がバラバラになって対応がバタついた場面はほとんど無かったように思う。
おそらく、スペイン的には多少守備で手抜きをしてその結果同点にされても、またアクセルを吹かして点を入れれば良いという余裕があり、62分に空気読まない(笑)トーレスが2点目を取ったのは置いといて、ラスト20分ぐらいからまたペースを上げて88分に3点目を追加してきちんと勝負を決めてしまった。
それに比べるとナイジェリアの攻撃は常に一本調子で、3人目の動きはほとんど無くてほぼ個人がボールを持ってからのプレイスタートであり、それでも個の能力でチャンスを作り出しはするのだが、最後のトラップが流れたり、足元に入りすぎたりでシュートがきちんとミートできず、みすみすチャンスをフイにする場面が非常に多かった。
やはりスペインは、試合の流れの見極め、ペース配分、勝負の勘所の判断などで1枚も2枚も上手で、ナイジェリアは攻めているように見えても横綱と前頭の取り組みのように、最後は力尽きてじっくり押し切られてしまっているようで、悔しいけれどイタリア戦の日本も傍から見ると同じような感じだったんだろうなと思う。
今回のコンフェデではコンディションの悪さや集中力の欠如が主に問われてしまっているが、やはり90分間続けて余裕のない必死な状態ではどうしてもミスは出てしまう。良い意味での手抜きや余裕をどこで作るかという共通認識は、やはり経験でしか補えないものだと思う。そこは個人とチームで、高いレベルの経験をこの1年間で積み重ねるしか無いのだろう。

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