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「同じようで微妙に似ていないサッカー」J1第10節 柏レイソル-横浜Fマリノス

リーグ戦では出遅れているもののACLでは首位でグループリーグを突破した柏と、現在リーグ2位と好調な横浜Fマリノスという強豪同士の対戦は、予想通りの好ゲームで拮抗した展開になったが、決定力のわずかな差とゲームプランのかみ合わせで柏が上回った試合となった。
横浜は以前の中村をトップ下にした4-2-3-1ではなく、藤田とマルキーニョスの2トップに中村を右SHに置いた4-4-2に変えてきた。これはおそらく、横浜のサッカーを各チームが研究して来て全ての攻撃の基点である中村がマークされ、プレッシャーがきつくなって球出しに支障が出て速攻が決まらなくなった対策だろうが、これが前半は機能しなかった。
柏の守備は、とにかく2トップに対しては厳しくCBがマークに付き、ボランチやSBと挟んでバイタルを自由にさせない狙いがはっきりしており、中村はプレッシャーが緩いサイドにはいたものの、前線が狭い場所で汲々として動けず、中村がパスを出せるコースがほとんど作れていなかった。
逆に横浜の守備はコンパクトではあるけどもゾーン主体で人に付くという感じではなく、柏のポストプレイからボランチに落としてサイド、という素早い展開を止めることが出来ず、8分にあっさりとサイドを突破したジョルジュ・ワグネルからのクロスをクレオに頭で決められてしまう。
そこはさすがに横浜もすかさず修正して来て、2トップがスペースを作って中村が中に入り、後ろからのボールをワンタッチで前に流す攻撃をし始めると、それまで2トップへの楔封じに集中していた柏DFがラインの裏を取られるようになり、21分にはマルキーニョスとのパス交換で抜けだした小林がドリブル、折り返しを兵藤が倒れこみながらのシュートを決めて同点に。
前半終了間際にGK菅野が脳震盪で退くアクシデントがあった柏だが、交代で入った稲田がゴールマウスをしっかり守り、ハイペースの試合展開を凌いでいく。すると、15分にDFからクレオに入った楔をダイレクトにはたいたボールを工藤が拾い、PA外側からミドルシュートを決めて柏が再びリードする。その後は横浜のロングボール攻撃にも耐え、終了間際のシュートもポストに当たるラッキーもあり、柏が何とか逃げ切った。
欧州の主要リーグに比べると、Jリーグはいかにもプレスを行う覚悟の薄さというか、スペースを埋めたりパスコースを切ったりという受動的な姿勢を「プレス」と思ってるんじゃないか、という試合が多いのだが、この試合はそういう印象を感じさせないレベルのせめぎ合いが見られて非常に楽しかった。それと単なるレベルの話だけではなく、スターがいないJリーグにお客さんを来させるには、もっとこういった試合が増えないとダメだと思っているだけに、心強いものがあったね。

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