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「香川のハットトリックでレアル戦が混迷に」イングランド・プレミアリーグ マンチェスター・ユナイテッド-ノリッジ

旅行と録画予約の予測違いですっかり乗り遅れてしまった、香川がノリッジ相手にハットトリックを決めた試合を見てみた。
香川は4-4-2の左SHでの先発だったが、今まで香川がなかなか輝けなかった試合と違っていたのは、まずチームの各選手がスペースへと動きながらパスをつなげようという姿勢が見られた事だろう。
これまでのマンUであれば、前線の選手が動くのはボールを積極的にもらおうと思っている選手だけで、それ以外の選手はだいたい足を止めて傍観しているのが普通だった。それが、ドルトムントやバルサのような連動とまでは行かなくても、ショートパスの交換が出来る流動的な位置関係が取れるようになった事で、香川がリターンパスを返しながらフリーになれるポジションへと動いた時に、チームメイトがまた香川にボールを戻せるようになっていた。
ファン・ペルシだけは、まだ自分がパスをもらってシュートを決めるための動きに終始している感はあるが、ルーニーやキャリック、クレヴァリーとは良い関係を保っているし、3点目やその後のプレイを見ているとウェルベックやバレンシアともパス交換が出来つつ有る。選手間のコンビネーションや理解度についてはかなり向上してきたと言えるだろう。
ただし、レアル戦の事を考えれば手放しで喜ぶ訳にはいかない。まず、香川がやたらと中に入りたがる割には、ルーニーやファン・ペルシが左側に移動するわけではないので、エヴラが高い位置に上がらざるを得なくなり、その裏のスペースもボランチのカバーが無くてがら空きになってしまう事。幸い失点にはつながらなかったが、試合序盤にノリッジの右サイドで2人がクロスに対してフリーになっていた時があり、これはレアルが相手なら決してやってはいけない連携ミスである。
ファン・ペルシが下がって香川が明確にトップ下のポジションになってからは、ウェルベックがサイドでバランスを取って安定はしたが、そうなるとノリッジならともかくレアルが相手では香川に対するマークがきつくなり、サンチャゴ・ベルナベウでの第1レグのようにDFラインの裏抜けを狙うしか無くなり香川の特性が活かせなくなってしまう。単に裏抜けだけをさせるなら、香川よりはチチャリートのほうが適任だろう。中2日で迎えるレアル戦には、90分戦った香川よりも、66分で交代したファン・ペルシの優先順位が高いのは自然である。
とは言え、選手の機能性だけを考えれば試合に勝てるのであれば監督はいらない。チームの将来性や選手の感覚、調子、控えのモチベーション、第1レグ+90分を通しての戦略等、様々な要素や選択肢がある中で何を選ぶかはファーガソン監督の胸一つだ。香川がどうこうよりも、まずはチームの勝利が何よりも優先である。

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