「どっちがJ1なのだろうか?」天皇杯準々決勝 セレッソ大阪-ガンバ大阪

まあ、サッカーでは良く繰り返されるフレーズなんだろうけど、ガンバがもしこういう内容の試合をもっと早く出来ていたら、今頃余裕でJ1残留を果たしていただろうなと。
その大きなポイントになったのは、やはり今野のボランチ起用だろう。全体の守備組織が整っている代表なら、今野の幅広い動きや読みのディフェンスが効果的になるのだが、守備が個人頼みのガンバではその「素軽さ」がそのまま弱点になってしまっていた。
ところがボランチだと、彼の攻撃の芽を摘む能力が発揮しやすい上に、代表で鍛えられたパスで組み立てが出来るようになった事で、遠藤が前目の位置に専念することが出来るようになった。遠藤が前に来ると、相手のボランチがそこに引っ張られるので、さらに今野が自由にパスを出せるという好循環が起きていた。セレッソのボランチは、五輪代表でもコンビを組んでいた扇原と山口だったが、さすがに今野、明神、遠藤というガンバの中盤+レアンドロに対しては分が悪く、終始劣勢の戦いを強いられてしまった。
あと、セレッソにとって誤算だったのは杉本の不調だろう。まあ、今野と明神相手に単独で勝てるようなら代表クラスだが、彼のところでなかなかボールが収まらず、期待の17歳南野も孤立した。南野については、ボールタッチや足元の柔らかさ、しなやかなドリブルといった片鱗は見せていたものの、やはり全体的に見れば仕事量は少なく、まだまだ成長途中だなという印象だった。
そういう意味では、来期のセレッソで柿谷にかかる負担は大きい。この試合でもワンチャンスで冷静にGKの脇の下を抜くゴールを決めており、ああいう瞬間のゴールチャンスに冷静な判断と技術で確実に決められる選手は、日本人では香川か本田、そしてかつての小野ぐらいしか見当たらないだけに、彼が欧州へと移籍してしまったらセレッソは相当苦しくなってしまうはずだ。
ガンバの方は、これで目標であるACL出場へとまた一歩前進したわけだが、次節は頼エースのレアンドロが累積で出場停止という事態に。この試合で決勝点を挙げた家長か、パウリーニョあたりが代わりに出ることになるのだろうが、現在は中盤が充実しているだけに前線の働きが次戦の鍵になることは確かだろう。