「ある意味香川を思い出す大津」オランダ・エールディビジ第17節 フローニンゲン-VVVフェンロ

前節は優勝争いをしているフィテッセを相手に金星を挙げて調子に乗っているはずのVVVだったが、フローニンゲンとのアウェイ戦では、相手がわずか前半6分に一発レッドで退場というラッキーカードをもらいながらも、チャンスに決めきれずスコアレスドローという消化不良の結果に終わってしまった。
しかも、今回はフィテッセ戦で途中出場からゴールを決めたおかげで大津が先発に復帰、カレン・ロバートとの日本人アベック出場を果たしたにも関わらず、結果を出せずに後半途中で交代し、代わりで入った大津と同じく先発から外されていたヌウォフォルがそれなりに持ち味を出したことで、大津にとっては余計にほろ苦い結果となってしまった。
大津は試合開始直後は4-2-3-1の左ウイングの位置にいたのだが、相手が一発退場になったファールを受けた後は何故かトップ下へとポジションを移し、細かい動き出しをしつつ両手を広げて足元へとパスを要求していたのだが、その位置ではなかなか後ろからボールをもらえず、たまにもらったとしても周りの動き出しが無く、カレンのみが意図を汲んでパス交換をしたりはしていたが、その意志が他には伝わらずに単発で終わることがほとんどだった。
それは、ちょうど怪我をする前に香川がマンUの中で見せていた光景と瓜二つで、トップ下として周りとパス交換をしながらゴール前へと切れ込みたい思いとは全く逆に、ボールは頭上を越すかサイドに飛んでいくだけで、ゴール前に飛び込むかドリブルでの単独突破でなければシュートさえ打てない有様である。
大津の場合は香川よりもさらに状況は厳しく、中盤ではルーズボールをいかにマイボールにするかの戦いが常に繰り広げられているため、相手に競り勝たなければパスを受けられる前提にさえたどり着けない。前節のように相手が攻めに出てくればカウンターの基点として働けるが、この試合のように相手が守備重視で来ると競り合いの意志が弱い大津はとたんに消えてしまう。
ただ、先発復帰した当初のカレンにもそういう面はあったが、今では1トップとしてフィジカルコンタクトを厭わず、ルーズボールをマイボールにする強引さを見せられるようになっているので、もしこれから試合に出るチャンスが増えてくれば、そういう部分はもっと成長できるかもしれない。
そしてイングランドへの移籍を考えていると言われているカレンだが、体を張ったプレイで1トップとして頑張っていたものの、さらにフィジカルとスピードのレベルが上がるイングランドは正直厳しいような・・・ここでの1トップで鍛えたフィジカルと持ち前の運動量で、言わば「長友枠」として下位チームで使われる可能性は無くもないが、クロスやシュートといった分かりやすい武器が何か欲しいところだね。