「サブメンバーを引っ張る長友」コッパ・イタリア ベスト16 インテル-ヴェローナ

セリエBのヴェローナが相手のカップ戦という事で、サネッティ、ラノッキア、サムエル、カンビアッソ、ミリートといった主力を控えに回し、アルバレス、マリガ、ダンカン、ジョナタン、シルベストレ、そして怪我から復帰したキブというメンバーをターンオーバーで出して来た。長友とカッサーノ、パラシオは先発組。
ヴェローナはセリエBにいるとは言え、現在3位と好調を維持しており、前半はほぼインテルの攻撃を完全に抑えきっていた。放送の解説では、始終3バックである事がアピールされていたが、この試合についてはどう見てもフォーメーションは4バックで、シルベストレとキブがCBでジョナタンとフアンがSB、長友とアルバレスがSHという形になっており、カッサーノ・長友・フアンで安定の左に比べると右は明らかに弱く、ヴェローナはインテルの左にしっかり蓋をしつつ、カウンターから何度もヴェローナに右サイドを突かれて危ない場面を作られてしまっていた。
しかし後半からマリガに代えてグアリンが入った事で右サイドのキープ力が安定し、50分にグアリンのボール奪取からカッサーノが先制点を決めると、4分後にはFKの場面からのグアリンのシュートが相手に当たってゴールインと一気にインテルが突き放す。そのグアリンに対応するためにヴェローナの右サイドが手薄になり始めた事で、カッサーノのキープ&長友のオーバーラップという黄金パターンが機能し始め、長友がドリブルやクロスで何度もチャンスを演出するものの得点までには至らず、そのまま2-0でインテルの勝利となった。
全体を通した内容としてはあまりパッとしなかったが、キブは復帰戦にしてはまずまずの出来だったし、ダンカンやアルバレスは波があるとは言え時折光るプレイはあったし、シルベストルも今までの散々なプレイよりはマシだったりと、サブの底上げという意味ではプラスがあった試合だった。
あと、この試合で面白かったのは、80分にインテルが3人目の交代を済ませた後でGKカステラッツィが肩を痛めて退いてしまった事で、なんとFWのパラシオがGKを勤め、その後でヴェローナが至近距離から放ったシュートを横っ飛びで弾くなど、本職もビックリの働きを見せたことである。南米の選手は若い時にいろんなポジションをやらされるそうだが、その経験が今になって活きたという事だろうか。
長友については、前半はヴェローナにサイドを塞がれてあまり働けなかったが、後半は2点目につながるFKを得たドリブル突進を始めとして、インテルの攻撃の中心として活躍が目立った。ただし、72分頃に足を気にする素振りを見せ始めると、その後は守備のカバーが出来ずにヴェローナの波状攻撃を与えてしまい、そのまま最後まで出場し続ける羽目になってしまったので、カステラッツィの怪我があって自ら交代志願は出来なかったのかもしれないが、結果的に軽症であったとは言え、無理で怪我が長引いた香川の件もあるだけに、ちょっと疑問が残るところだった。