「インテル病の克服へ」イタリア・セリエA インテル-パレルモ

ストラマッチョーニ監督が就任して3バックを採用した途端、公式戦の10連勝を飾って絶好調だったインテルだったが、ここに来て4戦勝ちなしといきなりの失速。
昨年のラニエリ監督も、同じように連勝街道を突っ走った後に絶不調に陥り、そのまま体制を立て直せずに解任となって経緯があったように、もはや途中の息切れは「インテル病」と呼んでも良いぐらいに不可避なものになっている。
もちろん、どんなチームであっても疲労で全体のバイオリズムが下がったり、エース格の選手の故障等で上手く行かなくなる時期は訪れるものなのだが、特にインテルには、「ベテランが多く、怪我がちだったり、スタミナ的に連戦がもたない」「スター選手はベテランに集中しているので、控えと経験や実力差が大きい」「そのスターも、年俸抑制のために次々と放出されている」といった要因が集中して存在しているため、余計に落差が激しい状態になってしまう。
しかも、CBのレギュラー候補として取ったはずのシルベストレがまだ使い物にならないため、スピードに衰えが出て来たサムエルを守備の中心にせざるを得ず、3バックにしてようやく安定した試合が出来るようになったが、右WBのサネッティに疲労が蓄積、サムエルも常時ラインを上下動させる体力的余裕が無くなって来た。
それでも、カッサーノがいればまだ前線にボールが収まってラインの押し上げが可能だったが、彼が欠場するとてきめんに基点が不足し、ラインは下がりっぱなしのまま長友が上がってサイドがガラガラ、カンビアッソがカバーで疲労困憊と、一気に歯車が逆に動き始めてしまった。
そこでストラマッチョーニ監督が取った策は、とにかくサブメンバーの経験を上げることだった。長友の代わりにペレイラがスタメンに入って、フル出場続きのサネッティに代えて長友を入れたのは、おそらく最初から監督のゲームプランに入っていたのだろう。そして明らかにスナイデルの代役としてのコウチーニョの起用。
正直、ペレイラは長友が入るまではどこか消極的なプレイに終始し、コウチーニョは中盤がスカスカだったせいもあったのだろうが、球離れが悪くてほとんど良いタイミングで攻撃を繋げられず、あまりインテルの弱点を補う結果になったとは言えなかった。が、カピターノとカンビアッソの途中交代というタブーに踏み込みながらも勝てたという事は、さらに次の一手を進められるチャンスを手にしたと言うことでもある。
次節は決勝トーナメント進出が決まっているELの消化試合。さらにここでもサブメンバーの底上げを計った上で、ナポリ、ラツィオと上位対決が連続する年末に集中したいところだろう。