「新生イタリアは日本のお手本」国際親善試合 イタリア-フランス

つい先日、日本はフランスと親善試合を行なっているだけに、この試合は全体的な内容がどうこうと言うよりも、対戦するイタリアが日本と比べてどうだったのかという点について、嫌でも注目せざるを得なかった。
イタリアは若手を試す試合という事で、ピルロやカッサーノといったベテランを外し、4-3-3の中盤の底、いわゆるピルロポジションに20歳のヴェッラッティ、3トップにはエル・シャーラウィ、バロテッリ、カンドレーヴァという選手を並べてきた。対するフランスも4-3-3で、中盤の3枚は日本戦でも出て来たマテュイディ、カプエ、シソコという黒人フィジカルお化けトリオ、3トップはリベリ、ジルー、ヴァルブエナという布陣。
試合が始まってすぐに違いを感じたのは、フランスのハイプレッシャーにも動じずに狭い中でパスを通したり、ワンツーを躊躇なく繰り出してくるイタリアの勇気。これが日本なら、腰が引けてバックパスや足元へのパスばかりでなかなかボールを運べないところだけど、イタリアは自陣PAから素早く躊躇なくつなげて来る。この辺は、技術というより普段からそういう環境でやっている慣れだろう。
そして、ユーロでもそうだったようにバロテッリの強力なキープ力。サイドでの素早いワンツーオーバーラップとトップのキープ力、それをつなぐヴェッラッティやモントリーヴォのパスが有効に機能してイタリアが優位に試合を進め、35分にカウンターから最後はエル・シャーラウィが決めてイタリアが先制。
しかしフランスも、どう見ても長友なヴァルブエナのドリブル突破からファーにシュートを突き刺して同点に追いつくと、バロテッリへのマークを強めてボールを奪い、中盤のフィジカルトリオのキープ力でゴリゴリとイタリア陣内に攻めこみ始める。が、イタリアとは違ってパサーがいないのでリベリにまでいまいち良い形でボールが渡らず、イタリアゴールを崩せない。
と思っていたら、後半早々に交代で入ったイタリアのフロレンツィが、67分にあっさりと右サイドでマークを振り切られ、中のマークがずれたところでゴミに楽々と押し込まれてしまい、アウェイのフランスが2-1でリード。
しかしイタリアもそこから猛反撃に出て、疲れが出て自陣に引きこもるフランスを、途中から出場したピルロのパスを中心にして圧倒的に攻め立てるものの、ジョビンゴの強烈なシュートがバーに当たるなど最後まで運がなく、フランスが2-1で逃げ切った。
イタリアは負けたとは言え、ヴェッラッティを筆頭に若手がフランスに対して一歩も引けをとらない内容を見せて、非常に収穫が多い試合だったように思う。バロテッリのようなFWはいないとは言え、パサーを中心に据えたサイド攻撃やカウンターの切れ味は、日本が見習うべき、と言うよりも十分実現可能なスタイルの1つである事は間違いない。
逆にフランスは、ガチガチハイプレス以外に有効な形が持てていないのが気がかり。バイエルンほどリベリが生きているわけではないし、ジルーが消えているのも相変わらず。と言うか、ボールを収める仕事だけならゴミのほうがまだ良いような。ブラジルに向けて、こっからどうチームを発展させるかが腕の見せ所ですかね~。