「香川の穴を埋めつつ有るドルトムント」欧州CLグループD レアル・マドリー-ボルシア・ドルトムント

昨年までは、リーグでは無類の強さを発揮しながらCLでは失望の結果に終わっていたドルトムントだが、優勝候補であるレアルのホーム、サンチャゴ・ベルナベウでも勝ち点1をもぎ取り、ここまでグループ首位と快走を続けている。
もっとも、この試合でも後半途中からはレアルの一方的なペースになってしまい、GKヴァイデンフェラーの攻守が無ければあと2点はぶち込まれていたぐらいの勢いだったが、そこで何とか粘れるようになって来たのが昨シーズンと大きく違うところだろう。
昨シーズンまでは、リーグではバイエルン以外にはドルトムントに対して攻撃的に来るようなチームが無く、そのせいかCLではアウェイで不用意にラインを上げた守備をやってしまい、特にグループリーグが行われるシーズン序盤は新戦力がフィットしていなかったのもあって、バタバタしているうちに点を取られて苦しい展開に自らハマり込んでしまうパターンが多かった。
しかしこの試合でも見せたように、アウェイではコンパクトなゾーンを低い位置に置いて、レアルにおける香川のような役割を担っているエジルを、少なくとも前半まではその存在を消す事に成功、ロングボールで裏を取ったチャンスをきっちり活かして2点を取るという老獪さを見せていた。
そして香川が抜けた事により、リーグ序盤では中盤の構成力に難があった攻撃についても、クロップ監督はきっちりと対策を施しており、以前のような香川を中心とした分業体制ではなく、ゲッツェやレヴァンドフスキ、ロイスが交互に香川の役割をやったり、DFラインの裏と取ったりという協業体制でカバーするサッカーになっていたのには驚いた。
香川時代ほど、パスで切り裂くようなサッカーでは無くなったものの、相手にとって守備の狙いの付けにくさという点では現在のスタイルのほうが効果的かもしれない。香川がマンUで苦境にあえいでいる現状から、ドルトムントに戻れたらという声も上がっているようだが、たとえそうなったとしても即時にフィットするとは限らないように思う。
レアルは、たまたまクリロナやイグアインが外れの日ではあったが、エジルは好調を維持しているし、決勝トーナメント進出は全く問題は無いだろう。むしろ、心配なのはセルティックにアウェイで負けてしまったバルサのほうかもしれないね。