サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「宇佐美は本当に成長していないのか」ドイツ・ブンデスリーガ第10節 ホッフェンハイム-シャルケ

昨日から風邪を引いてしまい、どうも体調が思わしくないので試合全体をパースする事はやめて、ちょうどオマーン戦の代表に選ばれたものの、その成長度に対してザックからのダメ出しを食らってしまった宇佐美を中心に見てみることにした。
じゃあ実際に全く成長はしていないかと言うと、間違いなく守備面では成長していると言える。サイドプレイヤーとして、相手が前に進んできたらきっちりマークして下がり、スライディングも機会は少ないもののトライする姿勢は見せている。少なくとも、バイエルン時代のようなサボり癖は残っていない。
が、出来ているのはあくまで必要最小限のレベル。宇佐美は、対面でマークしている相手からボールが離れると、そこで足を止めて追うのを止めてしまうが、これが岡崎だったらバックパスされたボールに対してさらに追い込みをかけて攻撃を作り直す余裕を相手に与えないはずだ。
そういう姿勢は岡崎のような選手に限らず、ブラジル代表もここぞという時は全員が連動して激しくプレスをかけに行くわけで、常時やるかそうでないかの違いだけで、世界レベルで戦う選手であれば誰もが持っているスキルなのだが、残念ながら宇佐美は現時点では持ち得ていないように見える。
そして攻撃面では、以前から前向きにボールを持てば一流、しかしオフ・ザ・ボールの動きが二流だと言われているが、オフ・ザ・ボールの中でも一番問題と言えるのが守備から攻撃への切り替えだろう。
この試合でホッフェンハイムが先制点を挙げたカウンターの場面を良く見ると、確かにターンオーバーになった時には、宇佐美はラストパスを出した選手やシュートを決めた選手よりも2~3mほど低い位置にいたのだが、得点が決まった時には彼らの15mほど後の位置でジョギングをしていた。日本対フランスの得点になったカウンターでは、そこまで88分間試合をこなしていた長友や内田が全速で走っていたからこそ決まった事を考えたら、何をか言わんやである。
現代サッカーでは、単純に走りさえすればフリーでボールを受けられる事などほとんどあり得ず、メッシやクリロナクラスのスーパーエースでない限りは、自ら守備に走り回ってプレスに参加し、ボールホルダーからボールを奪った瞬間に出来たスペースへと動き出す必要があるわけで、ただ自分がボールを持った後の事だけをイメージしてプレイしているような選手は、いつまでもボールを持たせてもらえないのだ。
オシムが「テクニックがある選手を走れるようにするのと、走れる選手にテクニックをつけるのと、どちらが効率的か。一般的には前者の方が簡単に思われがちだが、走らない選手は本当に走らないのだよ、これが」と語ったように、宇佐美の先輩である稲本も家長も結局はそこが伸びないままだった。宇佐美はまだ二十歳と若いが、それにしても成長が遅い。もうそろそろ危機感が形になって行くようでないと、非常にまずいのではないかと思う。

モバイルバージョンを終了