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「しょっぱい試合を何とかもぎ取る」ドイツ・ブンデスリーガ第10節 ニュルンベルク-ヴォルフスブルク

マガト監督解任以来、2連勝で調子に乗っているヴォルフスブルクをホームで破ったといえば、それなりに良い内容の試合だったのかなと見てみれば、相変わらずしょっぱい内容でそれ以上にヴォルフスブルクがダメダメな試合でしたとさ・・・
とは言え、ここ最近は酷いと言うしかないチーム状態に沈んでいたニュルンベルクにとっては、勝ち点3という最上の薬と共に、いくつか今後の方向性を占うポイントがあったのは事実である。
まずニュルンベルクは、今までだったら4-2-3-1で清武をトップ下に配置するフォーメーションを取って来ていたのだが、この試合ではヴォルフスブルクのトップ下であるジエゴにマークを付けるために、少なくとも守備時は4-1-4-1の並びにして、清武を右SHに置く布陣に変えてきた。
結果的にこれが大きく当たり、DFラインと2列目がコンパクトになって中盤でプレスがかかるようになり、そこからワイドに開いたサイドを使う形が上手くハマった。清武は、監督からはサイドに張るように言われていたらしいが、特に前半は自由なポジショニングを取る事が多くて、それで右SBのチャンドラーが攻撃参加出来るスペースが作れていたとも言える。
それに対してヴォルフスブルクは、2列目のサイドがオリッチと長谷部というサイドアタックが得意でない選手なのに加え、ジエゴが封じられて前での基点が出来ず、結果的にサイドがズルズルと後ろに下がって前線が孤立というパターンに陥ってしまっていた。試合終盤にようやくジエゴがフリーになる場面が出来ていくつかチャンスは作ったが、今まで出番がなかった選手での3試合目だけに、ニュルンベルクに対して全体的に走り負けてしまったという感じ。
ただ、そうやって戦術でもコンディションでも相手を上回ったのに、やっぱりニュルンベルクは点が取れない。しかし、清武の心がけ次第では何とかなるかもしれない、という希望も見られたように思う。
前半の清武は、確かに広くポジションを変えてたくさんボールに触ってはいたが、どこか中村俊輔的というか、味方がコースを作っていたら素直にパスを出し、SBがオーバーラップしたら後ろに下がってバックパスに備えるという、とりあえずパスをつなぐスタイルに固執していた嫌いがあった。
ところが、後半になるとサイドにポジションを取るように言われたのもあって、とりあえず自分が1対1で仕掛けなければならない状況になり、パスよりも強引にドリブルで抜いていく場面が増え始める。そして先制点の場面では、それまでのようにゴール前でPAの外側に下がって行ってしまうのではなく、クロスに対して積極的に飛び込み、それがDFのマークを分散させて裏のゲプハルトがヘディングを決める隠れたアシストになった。
清武はサイドに固められると持ち味が生きないという見方は多いが、後半のスタイルチェンジを見る限りでは、サイドの1対1とゴール前での飛び込みを、彼に強く意識させるのは悪いことではないと思う。良くも悪くも自らのエゴが少ない選手であり、普通にプレイしていたら単にチームの中に埋没しかねないだけに、あえて今は荒療治が彼には必要なのではないかと思う。

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