「Kリーグのようなテレク」ロシア・プレミアリーグ第14節 テレク・グロズヌイ-CSKAモスクワ

ここまでロシアリーグ4位と絶好調のテレク・グロズヌイ。ロシアとの紛争で名高いチェチェンのクラブ、しかもチェチェンに関連した選手をメインに構成している、バスクにおけるビルバオのようなチームである。
当然、ロシア陸軍ゆかりのCSKAに対しては激しい対抗意識を持っているようで、さすがに汚いファールこそ無いものの、まるでACLでJリーグチームと対戦するKリーグチームのような印象を受けた。選手構成もKリーグの強豪と良く似た感じで、スピードとテクニックを併せ持つアイウトンとマウリシオというブラジル人コンビを軸に、フィジカルがあって良く走る選手で周りを固めている。
この試合でも、その威力はまざまざと発揮され、開始8分にカウンターから抜け出たアイウトンが、イグナシェビッチの緩慢な対応を突いてサイド突破から先制点を決めると、その後も忠実で勤勉なプレッシングとマーキングでCSKAの選手を全く自由にプレイさせず、現在絶好調のムサが完全に消され、ほとんどボールに触れられないでいるような有様。
ところが、その危機を1人で覆したのが本田の一発だった。25分に、ようやく左サイドを抜け出したシェンニコフのクロスに、本田が消える動きでバイタルエリアに入り込み、ボレーのお手本のようなミートだけに集中したゴールを決めてCSKAがワンチャンスで追いつく。
その後もテレクの組織力と運動量はなかなか落ちず、後半30分頃からやっと中盤の動きが落ちてDFラインに吸収されるようになり、これはCSKAがリードするチャンスかなと思ったらまたテレクの押し上げが復活して攻守が逆転するなど、最後までテレクの運動量に苦しめられたが何とか88分にセットプレイからゴールを決めて、CSKAは厳しい試合をものにした。
本田はゴールの時だけでなく、ヒールパスでムサに決定的なチャンスを創りだしたシーンなど、うまくバイタルでボールを受ける動きでCSKAの数少ないチャンスを作り出し、間違いなくこの試合でのMVPに値する働きだった。他にも、彼にしては珍しく個人での突破にチャレンジする場面もあり、前節はお休みだったが今節からはブラジル戦で出た課題に取り組もうとする姿勢が見られたのは嬉しかった。
それにしても、最近のロシアリーグのレベルアップはやはり相当なものだと思う。日本では本田の移籍軟禁で非常にイメージは悪いが、少なくともロシアの上位チームはニュルンベルクよりずっとマシなサッカーをやっているので、代表にとってはありがたい状況であるのは確かだ。