「ブラジルで行ってブラジルに跳ね返される」国際親善試合 日本-ブラジル

試合結果は0-4、しかも決定的なピンチの数を合わせたら0-7で負けていてもおかしくない惨敗だったが、下手に引きこもって惜敗で終わるよりも、これから世界と戦う上で足りない部分というものがはっきり選手に刻み込まれたという点で、とても貴重で苦い教訓をいただいたという感じだろうか。
日本は、1トップの本田の下に香川、中村憲、清武が並ぶ事実上の0トップという布陣で試合に臨み、序盤はブラジルと互角のパスワークを見せて期待を抱かせた。が、12分に一瞬の隙からパウリーニョに先制点を決められ、26分に今野が良いアタックを見せるも寝そべった体勢でハンドを取られて2点目を決められた事で試合の流れが完全に決まってしまった。
その後は日本がボールを持たせてもらえるものの、バイタル近くでゾーンをきっちり敷いているブラジルの前に、日本はどうしても足を止めた状態でパスを回さざるを得なくなり、ミスからボールを奪われてはカウンターで攻められるという非常にまずいパターン。
日本は、パスを一応は回しているのだけど、常にブラジル選手のプレッシャーを受けて余裕のある状態でパスが出せず、特に清武や乾、細貝、酒井といった若い選手ほど、迷った挙句にミスパスやボールロストの場面を作っていたのに対し、ブラジルの選手は個人個人のキープ力が高くて、パスを動かしながら各選手がトライアングルを作りつつ動くので、日本は後追いの守備になってほとんどボールを奪うことが出来なかった。
昨日見たアルゼンチン対ウルグアイの試合のように、ウルグアイが必死でスライディングタックルなどの体を張った守備を見せても、タレント相手のチームにはやられてしまうわけで、親善試合だから無理が出来ないとは言え、そういう守備が下手な日本が攻撃的なサッカーで勝負してもそうそう上手く行かないのは当然である。
つまり、日本はブラジルと同じようなサッカーをやろうとしたものの、個人の判断力やキープ力、落ち着き、応用力という部分で上回ることが出来ずに負けたわけであり、そういう意味では個人で足りない部分というものがはっきり分かって、選手のモチベーションは非常に高まったのではないか、と負け惜しみを言ってみる(笑)。
逆に厳しい見方をすれば、日本式ポゼッションサッカーで対抗しようとすれば、ブラジル以上に個々人のクォリティや判断力がアップしないと厳しいという事がはっきりしたのも事実で、それがあと2年で埋まりそうもないという現実を考えると、ブラジルW杯本番に向けて最終的にどういう形のチーム作りを目指すのか、ザックにとっては重い宿題が与えられたとも言える。
とは言え、ヒディンクや岡ちゃんらの実績を見れば、短期決戦のチーム作りには半年の時間があれば十分であり、ザックの手腕を持ってすればそこそこの結果を出せる形を整えるのはそれほど難しいことではあるまい。今はとにかく地道に、各自が足りない部分を見つけて努力する事が出来る時期でもある。とにかく、ここからが再スタートと思って頑張らないとね。