サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「これぞセリエAの醍醐味」イタリア・セリエA第6節 インテル-フィオレンティーナ

ストラマッチョーニとモンテッラという青年監督同志の対戦となった試合は、インテルが2-1という辛勝でようやくホーム初勝利を挙げた。
この試合のポイントとなったのは、両チームのフォーメーションの微妙なミスマッチ。どちらも表記上は3-5-2の3バックなのだが、インテルはオーソドックスなダブルボランチの3-4-1-2だったのに対し、フィオレンティーナはトレスボランチを敷く、セルセ・コズミ監督が使い出した3-1-4-2という形になっていた。
コズミ式3-5-2は、ボランチとウイングバック、FWの左右3人で関係性を作ることで、サイドが1枚になってしまうダブルボランチの3-5-2の弱点を補うために編み出されたフォーメーションである。
つまり、そうなると長友はサイドで数的優位に立っている相手に対応しつつ、フィオレンティーナの攻撃の核であるクアドラードを抑えるという極めて困難なタスクを受け持つことになるわけだが、前半は失点場面以外はその役割をほぼ完璧にこなして見せたと言える。
そして相手のサイドを抑えることが出来れば、今度は中盤でフィオレンティーナがトップ下のコウチーニョを1人で見なければならなくなり、コウチーニョはカッサーノとのコンビで1ボランチ横のスペースを切り崩してチャンスを量産。カッサーノの2点目も、中盤で数滴不利になる相手のマークをコウチーニョが引きつけてスルーしたために生まれたものであり、ミリートがチャンスに1度でも決めていれば前半のうちに試合は決まっていたと言える。
失点の場面もガゼッタは長友のせいにして5.5という点数を付けたようだが、本来はボランチが2列目から攻め上がるロムロをマークすべきであり、長友はファーにいたクアドラードを見ていなければならなかったし、数はちゃんと足りていたのにクロスを簡単に上げさせたDFにも責任があるはず。ストラマッチョーニ監督にしてみれば、長友のところで崩されれば全てが水泡に帰す結果になる勝負だっただけに、彼の働きには満足しているはずだ。
ところが、後半になってからは完全にフィオレンティーナのペースになる。その原因となったのはやはり長友のサイドで、前半は長友とマッチアップしていたクアドラードが、長友が攻め上がってもそのまま高い位置で残るようになったので、リードして守備に意識が行ったロートル揃いのインテルが中盤の攻防で勝てるはずがなく、長友が5バックのようになって防戦一方になってしまった。
しかしここでも長友がチームを救う。62分に長いドリブルからロドリゲスのファールを誘い、ロドリゲスは2枚目のイエローで退場。これで息をついたインテルは、運動量の落ちた中盤にフレッシュな選手を入れて対応し、逃げ切りに成功した。
いや、やっぱりこう見るとチェスの読み合いのような戦術的な楽しみは、セリエ独特のものだなと思う。ドイツは結局ツヴァイカンプフだし、プレミアは戦術二の次で勢い重視だし、こういう楽しみを味わえる機会は少ないからね。セリエは落ち目と言われて久しいし、EU枠外選手は入りにくいリーグだけど、自分的には魅力のある場所だなと再確認させられた試合だったね。

モバイルバージョンを終了