「宇佐美の4人抜きゴール!はいいけれど」ドイツ・ブンデスリーガ第5節 シュツットガルト-ホッフェンハイ

前半の4分に飛び出た、宇佐美が相手4人を次々とドリブルで交わして最後はGKの足元を抜くゴールで話題を集めた試合だったが、その嬉しい出来事よりも、岡崎と酒井が所属するシュツットガルトの調子の悪さが心配になってしまう試合だった。
昨シーズン好調時のシュツットガルトは、1トップのイビシェヴィッチでまず基点を作り、そこからトップ下のハイナルが素早くサイドに展開、それを岡崎やハルニク、モリナーロや酒井といったサイドの選手がコンビネーションを作って素早く崩す、という攻撃スタイルがきっちり出来上がっていたのだが、今はそれが見る影もなく崩れ去ってしまっている。
その一番の原因はDFラインの位置取りが低すぎること。失点を恐れるためにセンターの守備陣が引いてしまうことで相手の攻撃に対するプレスがかからず、その割に酒井なんかは徹底的に上がりたがるために、バイタルで簡単に基点を作られ、そこからサイドに出来た広大なスペースを突かれてしまう。
シュツットガルトの2点目は、中盤での不用意なボールキープを奪われ、ほとんど前線に上がってしまった酒井のスペースを使われたもので、3点目も酒井が高い位置から当たりに行ったものの後ろが連動せず、一発交わされたら後はスペース出来まくりで以下同文。
攻撃でもその影響は明らかで、ボランチがDFラインに引っ張られてパスコースが作れず、そこから展開も出来ないので酒井が高い位置でボールを奪ってもパスの出しどころがなく、結局同じ狭いスペースで渋滞している岡崎につなぐものの、当然そこから何か出来るはずもなくボールを奪われておしまい。昨シーズンは攻撃を牽引していたイビシェヴィッチも酒井からの絶好のクロスを外すなど、キレの無さが目立つばかり。
特別、どこかの選手が悪いというわけでは無いだけに、浮上のきっかけが掴めそうにないのが厳しい。手っ取り早いのは監督を交代してショック療法を施す事ぐらいだが・・・
そして宇佐美については、ただ単にドリブルで勢いに任せて突っかけるだけではなく、相手の動きを見て交わせる余裕が出てきたのは心強い。もともとテクニックやキック力については文句無しのタレントを持っているだけに、香川のような冷静さが身につくとメッシぐらいになれるんじゃないかという幻想を持ってしまう。
ただし、守備ではかつての中村俊輔レベルぐらいは走ってスライディングはしていたものの、相手のパスを読んでボールの受け際にガツンと当たるようなプレイはまだ出来ない様子。攻撃でも、基本的にサイドで突っ立っているだけで、DFラインと駆け引きして視界から消えながら裏へ飛び出す、といった芸当も無く、チームプレイのレベルとしてはまだまだ。
今日のニュースで脛骨を挫傷していた事が発覚したらしく、中2日での次の試合で出場は難しいかもしれないが、とにかく今は経験を積んで1つ1つ課題をクリアしていくしか無いね。