「香川の苦闘は続く」イングランド・プレミアリーグ リヴァプール-マンチェスター・ユナイテッド

前回のガラタサライ戦では、少しずつ香川がチームにフィットしつつある様相が見られたのだが、アンフィールドでのアウェイリヴァプール戦という厳しい試合になると、そう簡単には事が進まないな、と痛感させられる結果になった。
やはりプレミアリーグの(調子を落としているとはいえ)強豪になると、ドイツよりもはるかに攻守の切り替えが早く、香川が細かく動いてフリーなポジションを取ろうとしても、その0.5秒後にはマークが入るかスペースを埋められてしまうので、一瞬でも味方が躊躇したらボールロストの危険性に晒されてしまう。
スコールズにしてもバレンシアにしても、ボールを持った時に香川が視界には入っているようなのだが、中にいる香川を使ってハイリスク・ハイリターンな攻撃をするよりも、比較的安全なサイド攻撃を選択してしまうのだ。しかし現代サッカーでは、単なるサイド攻撃からのクロスだけでは点が取れないというジレンマ。
かろうじてラファエルだけは、ブラジル人らしくサイドからさらに中を使って崩すというアイデアが働くようで、この試合でもPAの中に入った香川の胸トラップから難しいシュートを決めたが、敢えてそういう事をやろうという選手がマンUにはなかなかいない。
ただ、香川もそういう状況に指をくわえて見ているだけではなくて、この試合ではトップ下というポジションにこだわらず、ボランチの位置まで下がったりサイドに貼ってみたりと、リヴァプールのマンマークから外れつつ自分の動きでスペースを作り出そうという努力が見られた。
これは、ドルトムントでシャヒンが抜けてギュンドアンがまだ全然フィットしていなかった時に香川が良くやっていた動きで、それも自分のプレイに切れがない時には余計に走る事でカバーしようとしていたフシがあり、リヴァプール戦でも自分の調子を考えてそういうプレイを選択していたのかもしれない。
まあ、でもまだ全く焦る必要は無いと思う。そういう風に、いろいろと考えてプレイの幅を広げていくことで、きっとフィットする日はそう遠くない時期に来るのではないかと思っている。