「次は注目の日韓対決」U-20女子W杯グループA 日本-スイス

グループ1位通過がかかっていた日本とスイスの最終戦は、日本がグループ最下位スイスを圧倒し、4-0という大勝で1位通過を決めてみせた。
日本は試合開始からスイスをポゼッションで圧倒し、ほぼハーフコート状態でスイスを押し込み続ける展開になったのだが、9人でゾーンを作ってコンパクトな守備網を作るスイスに手こずり、なかなかゴールを割ることが出来ないもどかしい流れが続いた。
その嫌な空気を押し破ったのが、この日はボランチで先発した田中陽子のFK。前半30分に右足で先制点を決めると、後半2分には何と今度は左足で叩きこんでしまった。左右のFKを試合で任される選手というだけでも、近年では小野伸二ぐらいしか思い出せないのに、公式試合で両足からFKを決めた選手というのは男子では全く思いつかない。
女子のGKに関しては、アメリカ代表のソロを別格として、やはりなかなかゴールマウス全体に反応できる選手がいないので、ボールスピード関係なく枠にさえ飛ばせばFKが決まる事が多いとはいえ、それにしても稀に見る偉業であった。
その後はもうスイスの選手の気持ちが切れてしまったのか、日本が交代選手も機能して安定した試合運びを見せ、最後は猶本がゴール上左隅に決める難度の高いPKを決めて締めくくったのだが、スイス戦においてはメキシコ戦以上に日本が強さを見せた試合だったと言える。
日本は、各選手がプチ香川のような足元のテクニックを持っていて、アウトサイドやダブルタッチでのトラップを駆使してイーブンボールをキープするので、メキシコやスイスのように、体を強くぶつけずに単なる足同士の競り合いを仕掛けてくれば、日本のほうが圧倒的に優位に立つ事ができている。
まだSBのオーバーラップなどの分厚い攻めが出来ずに単発で攻撃が終わってしまう嫌いが無くはないが、そういう「溜めた」攻撃をする必要がないくらいに猶本のキラーパスが冴え渡っているおかげとも言え、柴田がきっちり決定機をものにしていたら、あと3点ぐらいは入ってもおかしくなかったぐらいだった。いや、女子はなでしこの後継者に心配する必要がないよね(笑)。
その意味では、疲労が溜まってキレが落ちている道上に代わって入った西川が点を取ったのも大きい。五輪で痛感させられたように、決勝トーナメントを勝ち抜く上では選手層の厚みが必須で、藤田や道上がいなくても内容と結果を出せているのは非常に頼もしい。
さて次はU-17女子W杯の決勝で敗れた韓国が相手。最近の日韓情勢のおかげで周りが妙な盛り上がりになってしまうのが心配だけど、サッカー的には何の不安もないはず。是非とも横綱相撲で勝ち上がって欲しいところだ。