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「銀メダルでも胸を張って帰って欲しい」ロンドン五輪女子 決勝 日本-アメリカ

う~ん、本当に惜しい、もったいない試合だった。
前半にあった大儀見と宮間の決定的なチャンス、アメリカのPA内ハンド、そして最後の岩渕の相手ボールを奪ってからのシュート・・・あのうちのどれかが決まっていれば、とついつい思ってしまう。
試合前の展望で、なでしこが勝つには走って耐えてセットプレイしか無いのではと書いたのだが、それは全くの見込み違いで、前半の30分頃からは日本がボールを支配し、逆にアメリカのほうが日本の攻撃を耐えて少ないチャンスをものにした試合だった。
アメリカは、今大会で各チームが見せた日本対策、つまりロングボールを入れてから前方プレスをかけ、日本がボールを持ったらサイドとDF裏のスペースをしっかり埋めるサッカーを序盤から繰り出し、これも今大会での日本の弱点だった、サイドを攻められた時にDFがズルズル下がってPA内に選手を入れられてしまうプレイでまんまと先制点を奪ってみせた。
正直言って、この失点は日本が一番やっちゃいけないパターンだったし、ここからアメリカの一方的な展開になってしまうのではないかと思った。が、アメリカは前の試合で延長を戦った疲労なのか、意識が守りに入ってしまったせいなのか、前半の終わり頃からプレスがかけられなくなってしまい、中盤でボールを持てるようになった日本がそこから俄然盛り返した。
そして後半になって反撃開始と思ったら、女子サッカーではなかなか決まらないはずのミドルシュートをロイドに決められてしまい、結果的にこの失点が両国の運命を分けてしまった。
日本はそこからここまで見せられなかった、ショートパスをつないでゴール前に人をかけるサッカーをようやく繰り出し、やっと出た澤御大の攻撃参加から大儀見のゴールで1点差に追いついたのだが、日本へのリベンジに燃えるアメリカGKソロのナイスセーブにことごとくチャンスを阻まれ、あと一歩届かず終戦。
勝てた試合で金メダルに届かなかったのは本当に残念だったが、疲労の頂点の中で先に2点を奪われながらも、なでしこらしいサッカーでアメリカと互角以上に戦い、土俵際ギリギリまで相手を追い詰めた姿は本当に立派で、世界一を決める決勝にふさわしい戦いだった。
前回のワールドカップの決勝で対戦した時は、内容的にはるかに劣勢だった事を考えると、そこから積み上げてきた経験や自信、そして彼女たち自身の努力がどれだけ大きかったかが見て取れる。そういう意味では、負けたとはいえ下を向く必要は全く無い。胸を張って、銀メダルを掲げて帰って来てもらいたい。
これで、佐々木監督の勇退は確定的、澤を始めとしてベテラン選手の何人かもこの大会での最後が予想され、ひとまず栄光に満ちたなでしこの1サイクルは終わりを告げるだろう。今大会で思ったほど若手に経験を積ませられなかったために、これからはアジアでも苦しい立場が続いてしまうかもしれない。しばらくは五輪の余韻に浸ったとしても、日本開催のU-20女子W杯などを通じて、次のなでしこを作り上げる必要があるのを忘れてはいけない。
とにかく、なでしこジャパン銀メダルおめでとう、ありがとう、そしてお疲れ様!

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