「執念の守りで銀メダル以上確定!」ロンドン五輪女子 準決勝 日本-フランス

いや~、なでしこジャパンにここまで強力な勝ち運があるとは、もはや想像を通り越したレベルだよね。それだけ、内容的には相当苦しい試合だった。
フランスはブラジルとは雲泥の、実にしっかりとした守備組織を持ったチームで、この試合では4-4-2のコンパクトなラインディフェンスを引いて、日本に対してカウンターを狙う攻め方で出て来た。
日本はこれまでに無く、大儀見のポストプレイを中心にパスをつなぐワールドカップの時のようなサッカーを披露してポゼッションを握るのだが、最後は中を経由してサイドに展開する日本の形が研究されていたのか、日本の中盤をFWがチェックしてパス出しを遅らせ、サイドも裏抜けを警戒してスペースを埋めていたので、日本はなかなか3人目の動きまでパスが通らず、決定的なチャンスがほとんど作れない。
と思っていたら、32分の宮間のFKを相手GKがファンブル、後ろに落ちたボールに反応した大儀見がフランスの守備陣と交錯しながら押し込んでラッキーな先制点ゲット。
これで当然フランスは前に出て来るのだが、サイドが張りだして2-4-4の形で日本のフォーメーションとマッチアップした状態になり、1対1では日本選手はボールを奪えないせいで、フランスにボールを回される展開が続く。が、フランスはあっさりとミドルシュートを打って来てくれたので、好調福元がしっかりセーブして事なきを得る。
後半開始早々は日本がペースを握り、カウンターからこの試合でほぼ最初と言っていい決定的な場面を作ったのだが、宮間が宇宙開発してしまってガックリ。と思ったら、またも宮間のFKから阪口が頭でファーに飛ばし、ボールはフランスゴールに吸い込まれて2点目という2個目の棚ボタな展開。
しかし後半15分からは地獄が始まる。日本はDFラインが上げられ無くなって、フランスの放り込みを常時PAの中で競り合う状況になってしまい、跳ね返したボールはことごとく相手に渡り、さらに連続攻撃を受け続けるというデスマーチ。
ジザの至近距離からのシュートセーブを始めとして、フランスの猛攻をGK福元を中心に何とか凌いでいた日本だったが、76分に日本の左サイドを破られた折り返しをル・ソメに決められ1点差に迫られると、77分にはそのル・ソメのドリブルに阪口が足を掛けてしまってPK。万事休すかと思われたのだが、キッカーのブサグリアが枠を外して3度目のラッキー。
日本はその後も最後まで何とかフランスの攻撃を耐え切って決勝進出決定。同時に銀メダル以上の獲得も確定した。そしてもう一方の準決勝、アメリカ対カナダは3-3で突入した延長後半18分にモーガンが4点目を入れて勝ち越すという死闘を制し、決勝はワールドカップのカードの再現となった。
結果としては本当に良くやったと言うしか無いのだが、決勝の事を考えるとちょっと劣勢になる時間が長すぎたとは思う。それが「心理的悪魔のサイクル®」のせいなのか、単なる疲労のせいなのかは分からないが、あそこまでDFラインが上げられないとアメリカ相手に守り切ることは相当無理があるだろう。
攻撃も低空飛行状態が続いており、澤は守備に忙殺される事が多くて鮫島の上がりは封じられ、本来攻撃の柱になるはずの宮間にパスミスが多く、大野と川澄は疲れていて、好調を維持していると言えそうなのは大儀見ぐらいなのも気になる点だ。今からいきなりコンディションが上がるとは考えられないが、何とかアメリカとの試合では開き直って本来のなでしこらしさを見せてもらいたいものである。