「グラスゴーの奇跡?」ロンドン五輪男子 グループD 日本-スペイン

いや~、サッカーには時折「勝つにはこれしか無い」というパターンに嵌る試合はあるんだけど、まさか日本がセットプレイで先制して、しかもスペインに退場者が出て10人になるという、誰も予想をしないであろう展開になるとは思っても見なかったよ。
ただし、それは純粋に良い方だけじゃなくて、少なくとも6回はあった日本の超決定機に決められなかった事も含まれてはいるんだけどね(苦笑)。今後のグループリーグを戦う上で得失点差を稼げなかったのは痛いけど、それでも初戦の勝ち点3は大きい。ここは素直に喜んでおこう。
そのラッキー以外の点でポイントになったのは、やはりスペインのチーム完成度の低さ。事前にTwitterで寄せられた意見で、U-23はA代表と違って中を攻めるよりは外中心に来るという情報を聞いていたけど、まさにその情報通りのチームで、高い位置に縦へのボールを入れて中のパス交換で人を寄せて外に展開するというスペイン本来の怖さがなく、得点機を作り出すはずのマタがボールをもらいに下がってくるような有様で、日本としてはかなり楽な対応で済んでしまっていた。
縦にパスを入れられなくても、後半のようにスペインが強引なドリブル中心で仕掛けていたら、日本はかなり厳しい対応を強いられていたかもしれないが、何故かそういうプレイの選択が少なく、ムニアインが怪我でサブに回ったのもあって個人能力差を曝け出される事も無かった。
もちろん、日本は10人になってからもスペインにボールを支配されたのだが、低い位置からのロングボールに対して日本の前線が意外にも競り勝つ場面が多く、相手が永井のスピードを警戒してラインを大きく上げて来れなかったので、セカンドボールを早いタイミングで中盤に入れられる事が少なかった。
そして何より日本の選手が自信を持ってプレイできていた事が大きい。トゥーロンのトルコ戦では海外組以外は皆腰が引けた守備でズタズタにされていたのが嘘のように、各自が体を張った粘り強い1対1の対応でスペインを最後まで自由にさせなかった。そこは、ベラルーシ、メキシコと勝って来た事で積み上がった効果だと言っていいだろう。
関塚監督も、トゥーロンまでは選手起用やチームの形に迷いがあったように見えたが、永井君1トップで頑張ってねで勝って来たアジア大会のスタイルをようやく思い出し、そこに選手の復調のリズムがピタリと合い、やっとこさ噛み合った形を見せることが出来た。
ホンジュラスとモロッコが引き分けたために、日本は第1戦目にして早くも首位という有利な立場に立ったわけだが、スペインのスロースタートぶりを考えるとグループの行方はかなり混沌とした状態になりそうで、まだまだ予断は許せないだろう。
大津と酒井宏樹が怪我で交代し、清武と齋藤はあまり調子が上がっていないようで判断にミスが多く、宇佐美のフィット感がまだ足りないなど、スペイン戦で全力を出し切った選手の疲れも含めて心配な要素は多い。だが、この試合で見せた大きな自信を持って慢心せずに臨んでいけば、結果は必ず付いて来るはずだ。
まだおめでとうを言うのは早いけど、本当に良くやった! ひとまずしっかり休んで次に切り替えて欲しいね。