「曽ヶ端大明神」J1第15節 柏レイソル-鹿島アントラーズ

徐々に前年度チャンピオンらしい調子が出てきた柏と、未だに一進一退状態に留まっている鹿島。
試合は、序盤からその調子の差がくっきりと現れる内容になり、柏の素早く激しいプレッシングの前に鹿島は全く前へとボールが運べず、それに対して鹿島のディフェンスは遅くルーズで、中からサイドに展開、そこにまた中のレアンドロ・ドミンゲスが絡む柏の分厚い攻撃について行けず、何度も決定的なピンチを招いてしまう。
どう考えても前半のうちに3点は入っておかしくない展開だったのだが、柏の決定力不足もあるとは言え、鹿島GK曽ヶ端の調子が素晴らしく、鋭い反応と読みで次々に柏のシュートを弾き飛ばし、レアンドロ・ドミンゲスがカーブをかけてゴール隅を狙ったFKに対しても完璧な反応で防ぐなど、崩壊寸前のチームを1人で支える奮闘ぶりだった。
ところが、前半35分ぐらいを過ぎると何故か柏のプレッシャーの勢いが落ちてしまい、ドゥトラや遠藤のドリブルから徐々に鹿島が攻撃する機会が増え始め、後半5分には右サイドでの遠藤のドリブルに柏の選手3人が釣られてしまい、中で完全にフリーになった小笠原がミドルをズドン。ひたすら押されていた鹿島のほうが先制点を奪うというお決まりの展開。
その後は柏が攻勢を強めるものの、鬼神と化した曽ヶ端の牙城は破れず、逆に鹿島のほうが度々カウンターから決定的な場面を作るもこちらも決められず、このまま鹿島が逃げ切るかと思われた89分に、PAの中で西がハンドを取られてしまってPK。レアンドロ・ドミンゲスが蹴ったボールは、またも曽ヶ端によって一旦は防がれてしまうが、そこに詰めていた近藤に押し込まれて万事休す。
まあ、柏にしても鹿島にしても、勝てた試合だけど負けなくて良かったという感じの試合だったかなと。試合は引き分けだけどMVPは文句なしに曽ヶ端。OAで選ばれたアテネ五輪では、グループリーグを不安定なプレイで7失点を喫して惨敗の要因となってしまったわけだが、この出来ならリベンジをさせてやっても良かったんじゃないかと思ってしまう。
逆に大迫は、ロスタイムにGKとの1対1を決められずアピールは不発。オーストラリア戦での前田を見ても、単に足元でボールを収められるだけでは世界相手の戦いは厳しい。大津や指宿といった五輪スタメン争いのライバルに勝つには、何よりも結果が必要だ。