「盾と盾のぶつかり合い」J1第11節 サンフレッチェ広島-横浜Fマリノス

森保新監督になって好調の広島と、絶不調状態から脱して3連勝中のFマリノスという対戦だったが、昨日見た鳥栖と大宮の試合とは一転してリトリート合戦のような試合であった。
いきなり前半の6分に、広島の青山がセンターサークルの後ろから、推定60mの超ロングシュートを決めるという度肝を抜くゴールで試合は始まったのだが、その先制点を大事にしようという意識が強く出たのか、その後は5バック気味で守備ブロックが低くなってしまい、攻撃の勢いがすっかり消えてしまう。
横浜のほうも、4-4-2の2ラインを組んでしっかり守る意識が強くて、サンフレッチェの誇る1トップと2シャドーに対してDFとボランチでスペースを与えず、マルキーニョスとドゥトラの超ベテラン外国人のキープ力で攻撃の時間を作ろうとするものの、5バックで守る広島の前ではなかなか連続した攻撃につながらず、その後はすっかり膠着状態に。
しかし、38分位広島の守備がガッチリ整っている中で上げた何の変哲もない小野のクロスに、マルキーニョスがマークの後ろから高さで勝ってヘディングを決め、横浜はワンチャンスを個人の力だけでもぎ取ってしまう。
後半になると、それまでは全く鳴りを潜めていたミキッチを中心に、広島がサイドを使って積極的に前へと出てくるようにはなったものの、この日素晴らしいプレイを見せていた中澤がことごとく危ない1対1の場面で競り勝ち、広島に追加点を許さない。
逆に広島は攻めにでていた分、横浜の攻撃に対してフォローが遅れるようになり始め、77分に右サイドでこれまた人数がいたにも関わらず、小野にフリーでクロスを上げさせてしまい、大黒のヘッドはGKに弾かれたものの、こぼれ球を斎藤が押し込んで横浜が逆転。6分後にはCKから富澤がヘディングゴールを決めて勝負有り。横浜が一気の4連勝を飾った。
広島は開幕から好調だっただけに、ここに来ての失速は意外。もともと攻撃的なサッカーに守備意識を森保監督がうまくブレンドしたと思っていたのだが、どうも運動量の低下からそのバランスが崩れてきた感がある。これが単にバイオリズムの波によるものなのか構造的なものなのかは不明だが、もっと球際の激しさを出さないともっとスタミナの消費を増す事になるので、個々の意識の引き締めは必須だろう。
横浜は、守備もサボらずボールがキープできるマルキーニョスの加入が非常に大きい。それで小野が厳しいマークから離れられるし、中村や斎藤が前を向ければぐっと攻撃は楽になる。問題は、ドゥトラも含めて夏場などのコンディション維持がどこまで出来るかという部分だろうか。彼らに変われる新戦力が、どのみち必要な事は確かである。