「今回ばかりはメッシがブレーキ」欧州CL準決勝第1レグ チェルシー-バルセロナ

CL優勝の大本命、バルサとホームで対戦したチェルシーの戦い方は、完全なる「ミランコピー」であった。
チェルシーのフォーメーションは、ドログバを前線に1人残してミゲルをアンカーにした4-1-4のコンパクトなブロックを自陣に引き、PAから10mまでは全くバルサにプレッシャーをかけず、ボールがゾーンに入った時のみ数人で取り囲んでボールを奪うという作戦に出てきた。
当然ながらバルサがボールポゼッションで7割以上取るようなハーフコートサッカー状態なのだが、フィジカル自慢&長身選手を揃えるチェルシーの壁をバルサはなかなか突破出来ず、試合開始すぐにサンチェスが抜けだしてバーに当てるループを放ったシーン以降はなかなか決定的なチャンスを作らせない。
チェルシーも単にやられっぱなしだけではなく、意外とボールを奪ってからパスを丁寧に繋ぎ、ある程度体制を整えてからドログバを走らせているので結構カウンターが決まるギリギリのタイミングになっていて緊張感がある戦いになっていて、そのせいもあるのかバルサもいつものような一気に畳み掛けるスピードが攻撃に感じられない。
前半もロスタイムになって、このままドローで後半突入かと皆が気を緩めた瞬間、チェルシーがメッシの足元で奪ったボールを左サイドを突破したラミレスにつなぎ、折り返しがラッキーにもファーサイドに走りこんだドログバまで通り、ドログバはこれを難なく決めて何とチェルシーが先制点を奪ってしまう。
当然ながら後半もチェルシーが我慢のサッカーを続けはするのだが、やはり徐々に運動量が落ちて攻撃から守備への切り替えが遅くなり、メッシに度々中央突破のドリブルを許しはするものの、何とか最後はDF陣が追いついてクリアしたり、ドログバが中盤まで戻ってサンドイッチしたりという、バルサファンにとっては歯ぎしり、チェルシーファンにとっては胃が痛くなるような展開が続く。
そしてバルサの希望を最後に打ち砕いたのがGKチェフだった。バルサから放たれた27本のシュートを驚異的なリーチと反応で防ぎ続け、後半の終了間際には、FKから頭でコースを変えられたボールを事も無げにクリアし、メッシから中、逆サイドへとつないでペドロが放った決定的なシュートも弾き、目の前に転がったボールをブスケツが吹かしてしまって万事休す。
まあどんなチームでもバルサに勝つにはこれしか無いという戦い方をチェルシーがやり、それが見事に成功したわけだが、果たして二匹目のどじょうが捕まえられるのかどうか。カンプ・ノウでの試合を残すバルサが有利な構図は変わらないが、メッシとセスクの出来がやや期待はずれだっただけに、間に挟まるクラシコをどう乗り切るかがポイントになって来そうだ。