「ドルトムントが天王山を制す」ドイツ・ブンデスリーガ第30節 ボルシア・ドルトムント-バイエルン・ミュンヘン

全世界が注目したブンデスリーガ2強の直接対決天王山。香川はもちろんスタメントップ下で、ペリシッチの怪我とゲッツェの復帰が見送られたためにグロスクロイツとクバの2列目となったドルトムントに対し、バイエルンはシュヴァインシュタイガーがベンチでボランチはクロースとルイス・グスタボが入った。
試合は序盤から激しいプレスの攻防でのロングボール中心の展開で、香川は主にルイス・グスタボにきっちりとマークされてスペースがもらえずなかなかボールに触れない。が、6分には右サイドを抜けだしてグロスクロイツに絶妙な折り返しを見せるがノイアーのスーパーセーブに阻まれたり、左サイドからPA内への横のドリブルでシュートまで持って行ったりと、数少ないプレイでもキラリと光る場面は作る。
バイエルンのリベリとロッベンに対しては、ドルトムントのSBが上がらず常に2対1でのカバーが行われ、マリオ・ゴメスを孤立させる守備がうまく機能し、前半はプレスの出足とショートカウンターの切れ味で勝るドルトムントのペースで進んで行く。
しかしセットプレイのこぼれ玉から上げたクロスにフリーで放ったケールのヘディングがポストに跳ね返されるなど決定機をものに出来ず試合はスコアレスドローのまま後半に。
後半の最初には香川のヘディングなどドルトムントにチャンスが来たのだが、最近のパターンで徐々に中盤の運動量が落ち始めると、DFの位置から高い位置で待つリベリやロッベンにパスが通るようになり、そこから中の選手が絡む分厚い攻撃でドルトムントを攻め立てるがバイエルンのほうもなかなかシュートが決められない。
ドルトムントは後半の30分に、疲れの見える香川とギュンドアンの2人を一度に交代させる勝負をかけ、これが見事に的中する。その2分後のCKから、こぼれ珠を拾ったグロスクロイツがシュートを放つと、前で残っていたレヴァンドフスキがヒールでコースを変え、ロッベンが上がりきっていなかったのもあってオフサイドにならずにラッキーな先制点をゲットする。
後が無くなったバイエルンは、後半40分に左サイドのパス交換から抜けだしたロッベンがドルトムントGKヴァンデンフェラーに倒されPK。しかしヴァイデンフェラーがロッベンのコースを見事に読み切ってセーブし、試合終了間際にはスボティッチがクリアしそこねたボールがバーに当たり、跳ね返ったところにいたロッベンがフリーで吹かしてしまい万事休す。 そしてジグナル・イグナ・パルクが歓喜に包まれた。
これで首位ドルトムントと2位バイエルンの差は勝ち点6に広がり、シャルケとボルシアMGとの試合は残っているが、そこでドルトムントが自滅しなければマイスターシャーレ獲得は固い状況になった。逆にバイエルンはこの敗戦で精神的なダメージを受けたのは確実で、しかもCL準決勝やポカール決勝がさらに落とせない事になり、ここからどう建て直すか非常に難しい舵取りが強いられるだろう。
香川については、何度か得点チャンスは作ったものの、好調時の跳ねるような軽快さは影を潜め、特に後半は見るからに疲れて惰性で走っているだけの状態に見えた。フィジカルだけでなく、1シーズンを中心選手として結果を出し続けないといけない重圧による精神的な疲れも相当溜まっているのではないかと思う。
もちろん、ここを乗り切ってこそ本物の経験になるし、それを積み重ねて行かなければとうていビッグクラブでスタメンにはなれないわけで、とにかくこちらは頑張れと言うしか無い。ただ、シーズン終了すぐに最終予選も控えているし、本当に怪我だけには気をつけてもらいたいよね。