「神戸はどっちに向かうのか」 J1第4節 サガン鳥栖-ヴィッセル神戸

橋本や伊野波、野沢といった代表クラスの選手を積極的に補強した事で、今年のJ1注目株だった神戸だったが、J2から昇格したサガン鳥栖の前になんと0-3での完敗を喫してしまった。
神戸は4-4-2のフォーメーションで、大久保と吉田を2トップにしてボランチの橋本とSHの野沢を中心として中盤を作ってから彼らのシュート技術を活かそうという狙いがあったのかもしれないが、結果的にはそれが完全に裏目に出てしまった。
神戸は中盤でボールを回そうとするんだけど、神戸がボールを持ったらFWまで自陣に帰って10人でコンパクトなゾーンを作り、激しくボールにプレッシャーをかける鳥栖の守備の前に全くプレイをさせてもらえず、足元に出したボールを狙われてはカウンターを喰らい、前半8分の決定機をかろうじて防いだと思ったら、その後も建て直す余裕を持てないままに28分、43分とカウンターからあっさりと失点してしまった。
鳥栖の攻撃は極めて狙いがシンプルで、まずロングボールを豊田に当てて2列目がセカンドボールを拾うという形が明白だったのだが、神戸のCBが豊田を止められず、セカンドボールに対するSBやボランチのフォローが遅く、得点シーン以外でも神戸の選手が戻りきれずにどんどんとマークがずれて決定的なシュートまで持って行かれる場面が繰り返されていた。
神戸は62分に都倉を入れて大久保を2列目に下げてから、鳥栖の運動量が落ちてDFラインの押し上げが足らなくなったのもあって、ようやく波状攻撃を仕掛けることが出来るようにはなったのだが、結局最後まで鳥栖の粘りに対してゴールを決めることが出来ず、この試合を象徴するかのような淡白な守備で3点目を献上しての完敗。
確かに神戸にはポゼッションサッカーをやれるだけの面子が揃っているとは思うけど、監督の力量と昨年までのサッカーに慣れている選手との整合性を考えると、それはかなり危険な賭けであるように思うのだが・・・これから2~3年先の理想を目指すのか、現実的に勝てるサッカーを目指すのか、クラブの明確なビジョンが問われるところだろう。