「大勝はしたが油断は禁物」ACLグループH 柏レイソル-全北現代

毎年ACLでもベスト8以上をマークし、昨年もKリーグ王者に輝いた全北現代が相手とあって、柏にとって相当厳しい戦いが予想された試合だったが、蓋を開けてみると5-1の大勝。なんと全北は初戦の広州戦に続いての5失点試合となった。
と書くと、全北が相当ボロボロだったように思えるが、柏の得点は前後半ともに残り5分になってから挙げたものであり、それ以外の時間はかなり均衡した流れで続き、後半にイ・ドングクが1点を返してからは全北のペースが続き、守備陣のギリギリの守りや相手のシュートタイミングミスのおかげで助かったが、少なくとも3回の決定機を作られており、そこで点が入っていたらどうなるか分からなかった試合だった。
勝敗を分けたポイントは、まず全北が不必要に柏をリスペクトして試合に臨んで来てしまった事だろう。
全北のスターティングフォーメーションは通常の4バックではなくて3-4-3。おそらく、柏の2トップに対して1人余らせ、サイドを厚くする事によって酒井の上がりを抑えようとしたのだろうが、確かに狙いとしては良く分かるのだが、2ボランチと3バックの間にレアンドロ・ドミンゲスが入り込んで素早くターンをする動きで柏に基点を作られ、そこからのオーバーラップに対して後ろ向きでの守備対応を強いられた事が、前後半の最後の失速につながったように思う。
全北は後半からイ・ドングクを1トップに入れて、いつものロングボールをFWに当ててからのセカンドボールを狙う正統派コリアンスタイルに切り替えてきたが、これにより柏のDFラインが押し下げられ、レアンドロ・ドミンゲスの位置取りも低くなってしまったので、そういうサッカーを最初からやられた方がよほど怖かった。
また、全北は前回のACLでキム・ボギョンをヘッドバットで病院送りにしたように、ラフプレイを厭わない当たりの激しさを見せるチームのはずなのだが、この試合ではレアンドロ・ドミンゲスに対してもあまり序盤からガツガツ行かず、オーストラリア人の主審に2度もPKを取られてしまうなど、いつもの「気迫」で来なかったのも拍子抜けであった。
チョ・グァンレ監督が更迭されて韓国代表にチェ・ガンヒ監督を引き抜かれた影響が非常に大きいと思われるが、おそらくこのままでは近いうちに新監督が来るのは確実で、次のアウェイ戦ではまた本来の姿を見せる可能性は十分あるように思う。
そのために、柏としては次の広州との2連戦でまず五分以上の星を確保する事。酒井やロボの調子はまだいまいちだが、レアンドロ・ドミンゲスとジョルジュ・ワグネルはコンディションが上がって来ているようなので、このまま上昇気流に乗りたいところだ。