「宮市の評価はうなぎのぼりだが・・・」イングランド・プレミアリーグ ボルトン-QPR

チーム最高評価のマンチェスターシティ戦に続き、今度はユーロスポーツやスカイスポーツといった大手マスコミからマン・オブ・ザ・マッチに選ばれるとは、いやはや怖いぐらいの持ちあげられ方である。
実際、この試合での宮市の出来は、82分までは対面のトラオレにガッチリとマンマークされ、かつてはアーセナルでウォルコットに次ぐスピードを誇っていた選手だけに、宮市とてそうそう振り切る場面は作れず、宮市自身が左サイドでのプレイに比べてボールの受け方、ドリブルへの移行スピードがスムーズでなく、どうしても一旦足元に納めてからのスタートになっていたので、なかなか動きで先手を打つことが出来なかった。
トラオレもこういう守り方は手馴れたもののようで、まず宮市に対してある程度距離を取った位置で縦を切り、宮市にパスが出たと見るやスルスルと彼に近づき、ボルトンの中盤でのパスワークが遅いのも相まって、宮市がボールを持った時には既に自由な動きを封じられた体勢になっている事が非常に多かった。
宮市も、そういう場合は中の選手に預けてワンツーをする事で裏へ抜けたかったようだが、それもボルトンの選手がほとんど感じてくれずに足を止めて待っているだけだったので、かえって相手に詰められてボールロストの原因となってしまっていた。それでも、中へとドリブルで切れ込んだ時にはチャンスにつながっていたので、そういうプレイをもっと増やしていく事がこれからの課題だろう。
さて試合の方だが、ボルトンは相変わらずボールの組み立てがないサッカーをやっており、ロングボールを放り込むか後ろでモタモタとつないではマークについている宮市にボールを預けて何とか頼む、というのが関の山で、かえってアウェイのQPRのほうが、ラツィオから移籍したシセを中心としたカウンターが機能してチャンスを多く作り出していた。
しかし、36分に右サイドでのFKを宮市が直接狙わずにセンターへ折り返し、そこからつないでペトロフが出したクロスをフリーでいたプラットリーが頭で決めてボルトンが先制する。そして後半開始早々にオフサイド気味で抜けだしたシセにゴールを決められてからはさらに一方的なQPRのペースになり、ほとんどボルトンにリードのチャンスは無くなったかに見えた。
ところが80分にQPRが選手を一気に3人交代した事で流れが変わる。それまで宮市をほぼ封じ込めていたトラオレに代わってタイウォが入ると、スピードの違いで宮市を捕まえきれなくなり、86分にサイドでロングボールをマイボールにすると、中への切れ込みからキックフェイントを織り交ぜ、最後は走りこんできたクラスニッチにスルーパス、これをクラスニッチが落ち着いて流し込み、ボルトンがホームで勝ち越し勝利を飾った。
これでボルトンは残留争いのライバルであるQPRを抜いて17位に上がり、一応は降格圏内を抜けだした。残留争いはほぼブラックバーン以下の5チームに絞られた状況だが、ボルトン以外のチームは強豪とのカードを多く残しており、次のアストンヴィラとスパーズとの対戦を五分以上で乗り切れば残留の可能性はさらに高くなりそうだ。