「一枚上手の落ち着き」ゼロックススーパーカップ 柏レイソル-FC東京

いよいよ今日からJ2、来週からJ1がスタートという事で、まずは口切りのゼロックススーパーカップ。柏とFC東京という地元のチーム同士の対決で国立競技場も良い雰囲気。
試合はまずFC東京がペースを握る。ポポヴィッチ監督のサッカーは、前線とDFラインの間をコンパクトに保ち、FWが積極的に中盤からボールを受けて高い位置取りを取るSBを絡めた速いサイド攻撃を繰り出すという典型的なモダンサッカーで、代表にも選ばれた石川や谷澤、太田らが躍動して柏ゴールを何度も脅かす。
しかし柏の方はそれほど慌てずにまずは相手の攻撃を受け流すようにじっくりと守り、20分ごろから東京のハイペースが落ちて来たところを見計らって、徐々に鋭いカウンター攻撃を仕掛け始める。と、26分にジョルジ・ワグネルが単独ドリブルで中央を切り裂き、ゴラッソな無回転ミドルを叩きこんで柏が先制点を挙げる。
そこから試合の流れは一気に柏の方へと傾き、レアンドロ・ドミンゲスを中心に何度もカウンターからチャンスを作ると、43分にゴール前での浮き球を待ち構えていた北嶋を森重が後ろから当たって倒してしまいPK。前半を柏が2点リードで折り返す。
東京は後半から渡邉千真をFWに入れて2トップにしたが、この交代策が当たって前半はトップ下で消えがちだった長谷川がスペースを与えられて伸び伸びとプレイ出来るようになり、ポストのルーカスと裏を狙う渡邉という前線の役割分担がはっきりする。
そして後半20分に、高い位置でボールを奪った東京がDFラインの裏に抜けた渡邉にパスをつなぎ、左からのクロスに飛び込んだ長谷川のシュートが一旦はGKに阻まれるものの、クリアをしようとした柏の選手2人がかぶってツインシュートのような状態になってしまい、それを難なく長谷川が押し込んで東京が1点差に迫る。
その後は羽生が決定機を2回外し、栃木から柏に加わったリカルド・ロボが再三強烈なシュートを放つなど互いに得点のチャンスはあったのだが決められず、そのまま得点は動かずにJ1王者の柏がちばぎんカップに続いての2冠目を手にした。
東京は負けてしまったとは言え、良くも悪くも中盤の王様だった梶山も積極的に守備をする姿が目立つなど、全員がハードワークを怠らず一丸となって戦う姿は非常に好感が持てた。ただ、今期はACLも待ち構えているので、疲れが来た時にどうリカバリーするか、ポポヴィッチ監督の手腕が注目されるところだろう。
柏は、序盤の東京の猛攻にも慌てず騒がず、そんなに人数をかけるわけでも無いのにカウンターの場面ではしっかりゴールを伺うところまで攻め切るあたり、欧州チームのような経験を感じる試合だったね。こちらもACLに挑む事になるわけだが、新加入のロボが柏の2枚看板に対してどう攻撃で上手く融合できるかがポイントになりそうである。