「宮市の初先発は目出度いが・・・」イングランド・プレミアリーグ チェルシー-ボルトン

宮市が早くもボルトンでプレミアリーグ初先発という事でにわかに注目が集まったチェルシー戦だったが、強豪相手のアウェイということを差し引いても、宮市より何よりボルトンの酷さが目に付く試合だった。
何しろ、せっかくボールを奪ってもピッチのセンターで2本とパスがつながる事がなく、DFラインとCHの連携が全く取れていなくて、CHが上がりすぎてバイタルがガラ空きになったかと思ったら、次の瞬間にはDFラインに吸収されてノープレッシャーで飛び出されるなど、チェルシーがシュートをGK正面に撃ちまくってくれたおかげで失点はしなかったものの、チャンスらしいチャンスは宮市のボールカットからトゥンジャイ、最後は惜しくも外れた宮市のダイレクトシュートの場面のみだった。
ボルトンは後半3分に先制点を奪われた事で、ようやく全体的に前への推進力が出てきて、宮市も高い位置でボールを持てるようになり、左サイドをスピードで2人ぶち抜いてスタンフォード・ブリッジの観客の腰を浮かせた場面を作るなどしたが、61分にセットプレイでドログバにやられ、79分にはファーサイドに飛び込んだランパードに誰もマークがついておらずに結果的には3失点の惨敗。
そんな壊滅的なボルトンの中で、宮市が贔屓目を抜きにしても可能性を感じるプレイを見せてくれた事は非常に日本人として嬉しかった。
スピードに乗った突破はもちろん、ボールを持ってもほとんどミス無くパスでつなぎ、守備も1対1での対応こそまだ弱みはあるものの、フェイエノールト時代のようなアリバイ守備ではなくてしっかりとコースを切る最低限の役割はこなせており、それを90分サボらずに出来ていた事は確かな成長の証だと言える。
チームプレイをしっかりこなしつつ、スピードと技術という武器を持った選手に対して味方からボールが集まるのは当然である。ザックが宮市の招集に対して、宇佐美などよりも一段高い序列にいる成熟した選手だと、ウズベク戦での起用を示唆した発言をしていたが、それも納得のプレイだったと言える。
技術とパワー、フィジカルはあるのにスピードが欠けているおかげで宮市に先発の座を奪われたペトロフが、かつての中田と重なる部分があってちょっと気の毒ではあるのだが、今後ボルトンでもっと出番が訪れることになるのは間違いないと確信させられるデビュー戦であった。