「日本首位で自力突破復活!」 ロンドン五輪アジア最終予選 マレーシア-日本

シリアとの1位争いが得失点差での結着に持ち込まれる可能性が高い日本は、このマレーシア戦で是非とも大量得点が必要になったわけだが、関塚監督は山村に代えて扇原、そしてシリア戦で得点を決めた永井を先発から外すという賭けに出てきた。
序盤の日本は、ポンポンとボールが跳ねるピッチと緊張感からか、DFやボランチからのパスでミスを連発、いくらボールを奪っても前までつながらないという非常にリズムの悪い立ち上がり。そして日本ホームの試合で好セーブを見せたマレーシアGKファーミも齋藤のシュートにも鋭い反応を見せ、これは今回もかなり苦しむ試合になるのではないかと思われた。
案の定、中盤でのプレスが日本に対して効いていると感じたマレーシアが徐々に前へとせり出し、日本は先制点はおろかボールポゼッションでも主導権を奪われそうな流れになってしまう。
しかしそのあたりからようやく日本の中盤が落ち着いてボールを扱えるようになり、トップ下の東がボランチをフォローするようになって逆に彼がいなくなったバイタルのスペースが空き、そこをだんだん日本が使えるようになって来る。
すると35分に、センターをドリブルで攻め上がった東から原口にスルーパスが通り、DFより先にボールを触った原口が粘り、そこに長い距離を走ってきた酒井が原口のスクリーンを利用してシュートするという、GKの意表を突くプレイでゴールを決めてしまう。
ここから日本はややペースを落としてボールを回そうとするが、それが出来ないのがいかにもこのチームという感じで、ボールを回すと精度の狂いからどんどん態勢が悪くなって相手にターンオーバーされるパターンが続き、再び怪しいムードになって来る。が、前半終了間際にCKからようやく大迫が得点を決めて2点差に。
後半になるとマレーシアのプレスが弱まり、さらに日本は中盤で余裕を持ってボールをサイドに配給出来るようになり、10分には酒井の突破から得意の形でのクロスを原口が押し込み、その5分後には今度は左から扇原のミドルをGKが弾いたところに詰めた齋藤が決めて4点目。
このまま一気に大量得点と行きたかったところだが、途中投入された永井と山村がいまいちゲームの流れに乗りきれず、原口と齊藤の動きが急激に落ちてしまってなかなかサイドが使えない。最後は前線に杉本も入れるもののロングボールを入れる機会すらなかなか作れずにそのまま4-0で試合終了。
序盤のグダグダ度合いや後半のガス欠、相変わらずな交代選手の機能不全はあったが、マレーシア相手にかろうじて4-0という最低限の結果を出せたのは、ひとえに選手個々がミスをカバーすべく良く走っていたからだと思う。特に東と山口、酒井、原口の奮闘がこの試合を支えたと言ってもいいだろう。
その後行われたシリア対バーレーンでは、中東はココぞという時に必ずやらかす法則が発動し、バーレンが2-1で勝利。これで日本は少なくともバーレーンに引き分け以上で自力突破、2位のシリアにも得失点差で5上回っているので、たとえ負けてもシリア対マレーシアの結果によってはグループ勝ち抜けが出来る有利な立場に立った。
とは言え、引き分けてもいいという消極的なサッカーでこのチームが結果を出せるとは思わないので、このマレーシア戦のように選手全員がひたむきな姿勢で最後まで走り抜くサッカーを貫く事に尽きると思う。バーレーンを舐めること無く、そしてリスペクトしすぎることも無く、平常心で最終戦に臨んで欲しい。