「あまりにも酷いアーセナル」欧州CLベスト16 ACミラン-アーセナル

チャンピオンズリーグの決勝ラウンドが始まった今週で最も注目されたカードは、ミランがアーセナルに4-0で圧勝するという予想外の大差がつく試合になってしまった。
既にあちこちで語りつくされている通り、とにかくミランどうこうよりもアーセナルの出来が酷過ぎで、特にロシツキー、ラムジー、ウォルコット、アルテタという中盤が攻守において全く機能していなかった。
ミランは、自陣にしっかりブロックを作ってアーセナルのパスワークをまず封じる作戦に出てきたのだが、これに対してアーセナルの攻撃陣は全く打開策が見いだせず、ロシツキーはボールをこねては足を止めて横パス、他の中盤もポジションチェンジやサイドチェンジといった、相手守備を揺さぶるようなプレイがほとんど無く、PA中へボールが運べる可能性があったのはファンペルシの飛び出しぐらい。
しかも攻撃がまるで機能していないのにDFラインやSBが不用意に高く、中盤の選手がボールホルダーに対してプレスをかけに行かないので実質的にDFの4枚とソング1人だけで守備をしているような状態。先制点の場面も、CBとSBの間に飛び出したボアテングに対してノーマーク、パスを出したノチェリーノにもノープレッシャーという目を覆うようなザルっぷり。
前半38分にロビーニョが決めたゴールは、その前のイブラヒモビッチの飛び出しが明らかにオフサイドで不運ではあったが、それ以前に決定的なチャンスが2~3度あったのだから言い訳のしようがない。
後半になってアンリを投入したことで、完全に孤立状態だったファンペルシが中盤でボールを持てるようになり、アンリやファンペルシが惜しいシュートを放つ場面を作りはしたのだが、アーセナルとしての見所はそれだけ。87分に、怪我のコシールニーに代わって入ったジュルーがイブラヒモビッチに子供扱いされてPKのおまけ付きで終了。
これなら宮市を試合に出してもそんなに変わらんじゃないかとベンゲルに思わず文句を言いたくなってしまったが(笑)、ミランの内容が非常に安定していたのも事実。中でもボアテングはゴールのみならず随所にパワフルなプレイでアーセナルの守備陣を翻弄し続け、オッサンばかりで前線に力強さが無いインテルに彼がいれば随分助かるのになあと思ってしまった。
もうこれで勝敗的にはほぼ決まった状態になってしまったが、傷心のアーセナルがせめてホームでプライドを見せる戦いを見せてくれることに期待したい。