「酒井のブンデスレビューは合格点」ドイツ・ブンデスリーガ第21節 シュツットガルト-ヘルタ・ベルリン

ここまでリーグ戦4連敗で、いよいよ降格圏が迫ってきたヘルタだったが、前半早々に2点を失い、30分にはオトゥルがハイナルに対して後ろから足の裏を見せてスライディングするという完璧なレッドカードで退場、試合後には監督のスキッベが解任される結果となった。
まさにヘルタの自滅としか言いようがない試合ではあったが、岡崎と酒井高徳が先発揃い踏みだった事を差し引いても、シュツットガルトにとっては今季ベストに近い内容だったのではないだろうか。
まず要因の一つは、ずっと不調だったカカウをようやくここに来て先発から外した事で、これで今までの前線2枚の蓋が無くなり、この試合でもハットトリックを決めた好調ハルニクがよりゴールに近いポジションで仕事をする事ができ、岡崎も低い位置に押し込まれる事が少なく、ゴール前でボールにたくさん触るという彼本来の持ち味が出来る状態になっていた。
前半32分にブラルーズからのクロスに飛び込んで決めた岡崎のゴールは、相手が10人になった直後でインパクト的にはそれほど大きなものでは無かったが、スタメンになった試合でチーム2位の5得点をマークしたという結果は非常に大きい。
ボランチも、監督のお気に入りだったクズマノヴィッチに代わってゲントナーを起用した事で、流動性の高い2列目にゲントナーの攻撃センスが生きて、シーズン前半戦のような膠着しきったサッカーからずいぶん明るい兆しが見えるようになってきたのではないか。とは言え、ラバディア監督はマガト並にあちこちスタメンを弄りたがるので安心は出来ないんだけど・・・
そして、何より初スタメンという事で注目された酒井高徳だが、いきなり逆サイドへの大きなサイドチェンジを出してみて見事にカットされてしまったように(笑)、普通ならビビってなかなか攻撃には絡めないところなのに、その後も積極的な縦パスを続けるなど物怖じしない強いメンタルを感じさせるデビューだったと言える。
ただ、やたらと高い位置取りをしていた割にはCBから彼にボールを出せるタイミングがあまり作れず、右足に持ち替えてのアーリークロスを上げるシーンは多かったが、残念ながら精度的には物足りなかったのは今後の課題か。まあ、せっかく走ってもなかなかチームメイトに使ってもらえない岡崎にも、酒井だけは真っ先に見てくれてボールをくれるので、モリナーロというビッグネームがライバルではあるけども、是非継続して起用されて欲しいところである。