本田のラツィオ移籍に立ちはだかるハードル

数日前から交渉が明らかになり、多くのサッカーファンが今日決まるのか明日決まるのかとやきもきしている本田のラツィオへの移籍ですが、やはり予想通りに31日の移籍期限ギリギリまでチキンレースが繰り広げられる様相になって来ましたね。
最初はスッキリと決まるように思われていたこの移籍が、ここまでもつれてしまっている原因としては、まず欧州を取り巻く経済情勢が大きいように思われます。
言うまでもなく、ソブリンリスクで特にスペイン、ポルトガル、イタリアの経済についてはこれから失速することが確実視され、UEFAのファイナンシャルフェアプレー規定も相まって、これらのリーグに所属するクラブは軒並み縮小財政を余儀なくされており、例年に比べると今冬の移籍市場は極めて冷え込んでいるのが現状です。
それに比べると、石油や天然ガス産業で潤うロシア(と中東マネーが入ったクラブ)は資金的に余裕があり、別に無理やり本田を放出してまで資金繰りをする必要がありません。ましてや、エースのヴァグネル・ラヴのフラメンゴへの移籍が決まり、来期CLの戦力維持も含めて考えると、ますますCSKAにとっては本田売却の必要性は無くなっています。
もう一つは、ラツィオ側のEU枠外選手の問題。いくらラツィオが金を積んでも、所属選手のEU外枠が埋まっている状態では移籍する事は出来ません。ラツィオはアルゼンチン人GKのカリーソを本田と交換で放出したがっていますが、CSKA側は必要ない様子。もう1人の放出要員であるマキンワについても、まだ移籍が確定したわけではないようで、これらが解決しないとどうしようもありません。
こういう厳しい状況で本田側が出せるカードがあるとすれば、怪我の不安を口実にした出場拒否でしょうか。まあ、そこまで強硬に出なくても、ロシアの気候と人工芝という環境では怪我の再発は避けられない、と医者の見解を添えてCSKAに揺さぶりをかけている可能性は高いと思います。と言うか、本田本人がもう何が何でもロシアリーグには出場したくないと思っていそうです。
CSKAにしてみれば怪我で出られない選手を抱え込んでいても金の無駄なので、CSKA側が本田の代わりに獲得を考えているであろう選手との移籍金を天秤にかけているところかもしれません。日本のスポンサーが動いてくれれば2億程度の穴埋めは出来そうですが・・・ザックも後押しを頼んます(笑)。
いずれにせよ、本田単独で移籍が決まりそうにない現状では、もし決まるとすれば移籍期限の31日に何人もの選手が一気に玉突き移籍される事になりそうな雲行きですな。