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「名門同士の対決は市船に栄冠」高校選手権 決勝 市立船橋-四日市中央工

成人の日、満員の国立競技場で行われた伝統校同士の決勝は、その舞台にふさわしい熱戦となった。
まずは試合開始1分足らずに、ロングボールから西脇が落としたボールに鋭く反応した田村が決めて、いきなり四中工が先制するという意外な展開で始まると、そこから前半はほぼ四中工のペースとなる。
中盤での激しいプレス合戦で市船を上回った四中工は、そこからサイドに素早く展開してスピードのある前線にアーリークロスを入れ、さらにセカンドボールを支配する攻撃を繰り出して来る。それに対して序盤はかなり手を焼いた市船だったが、25分過ぎごろからは四中工のボールの出所を抑えられるようになって、展開としては膠着状態に移行する。
後半になると、前半のオーバーペースがたたったのか徐々に四中工のプッシュアップが遅れ始め、市船自慢の前線からの追い込みで四中工の攻撃を断ち切り、サイドに持ちだしてはドリブルなどの個人技を絡めて四中工の守備にプレッシャーをかけ始める。
そして残り10分を過ぎると、四中工は完全に自陣で引きこもりを強いられるようになり、市船がセットプレイやロングスローで圧力をかけ続けると、とうとうロスタイムのCKからゴチャゴチャの混戦となったゴール前で、エース和泉が最後に蹴り込んで市船が同点に追いついてしまう。
延長になると、そこまで守勢に立たされていた四中工も前に出て勝ち越し点を狙いに来るようになるが、結果的にそれが裏目に出てしまい、前がかりになった場面での市船のカウンターに対して中盤が戻れず、DFラインを破られて再び和泉に決勝点を決められ、試合はそのまま終了。
実力差としては、本当に結果通りの紙一重と言える好ゲームだったが、結果的には決勝戦でも自分たちの普段のサッカーを見失わず、四中工のハイペースな攻撃を冷静にしのいでスタミナを温存した市船の経験が上回った試合だったのかなと思う。
プリンスリーグの結果などから、高校生年代ではもはや完全にJユースが優位に立ったと言われるが、やはり新年の国立という華やかな舞台で地上波放送される高校サッカーというコンテンツは、代表と海外だけが話題にされる日本サッカーの現状を考えると、これはこれで貴重なものなのだなと痛感させられる。
願わくば、ユースのほうもこれぐらいメディアが取り上げてくれればと思うんだけど、やっぱ後藤健生氏が言うところの一般受けする感動ドラマ・ストーリー性が無いとまだまだ日本のマーケットでは難しいんだろうなあ。

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