「松田の夢はまだ続く」天皇杯4回戦 横浜Fマリノス-松本山雅

ここまでJリーグのチームを2度破る快進撃を見せて来た松本山雅だったが、松田直樹の古巣との対戦という事で注目された横浜との試合で、力の差を見せつけられての終戦になってしまった。
松本としての誤算は、まず横浜にとっても松田への弔い試合だった事で、JFLの松本に対して全く手を抜かずにモチベーション高く試合に臨んでいた事。
特に、スピードがある木島兄弟へは厳しくチェックをかけ、まず前線が動いて中盤に落とそうとする松本の組み立てを完全に寸断、サイドから攻めて2列目が攻撃参加する分厚い攻めで松本に彼らのサッカーを全くさせなかった。
そしてもう1つは、試合前日に降った雪によるピッチ状態の悪さ。
日本代表がアウェイで苦しむように、一般的にピッチが悪いほうが上位のチームにとっては不利になると言われているが、Jリーグ同士の場合はかえって逆の効果になる事が多い。
それは、日本では上位と下位とでは足元のテクニックの差よりも、体力とパワー、判断力に差があるわけで、山雅の選手は重いピッチとボールに対して無理な力でパスをせざるを得ず、パススピードとコースが安定せずにミスパスとなるパターンが非常に多かった。
そして前半の30分ぐらいまでは、今までのような高い位置からの積極的なプレスでチャンスの場面を作ってはいたが、そこから体力が落ちてプレスがかからなくなり自陣に引きこもらざるを得ず、横浜の2点目で完全に気持ちも体も切れてしまった。
天国の松田にとっても楽しみな対戦だっただけに残念だろうが、彼と松本の夢がここで終わったわけではない。生前の目標として公言していたJ1昇格を果たすためにも、まずはJFLとの昇降格が始まるであろう来季に向けて、しっかりと準備をしなければならない事は言うまでもない。