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「香川よりもライトナー」ドイツ・ブンデスリーガ第12節 ボルシア・ドルトムント-ヴォルフスブルク

1ゴール2アシストというこの上ない結果を出し、最初のシュートこそ吹かしたものの、前半の終わりにカウンターから点を取ってからは昨シーズンの好調時のプレイを取り戻し、ピッチのあちこちに顔を出しては軽妙なトラップで前を向き、精度の高いパスやドリブルでヴォルフスブルクを翻弄した香川は確かに素晴らしかった。
が、ドルトムントにとって本当の収穫になったのは、ゲッツエと同じ弱冠19歳のライトナーが、今までドルトムントが苦しみ続けたシャヒンの穴を埋めるピースであることを発見した事ではないだろうか。
本来シャヒンの後釜として期待されたのはギュンドアンのほうであったが、彼はどんなにドルトムントの前線が渋滞していても上がりたがり、しかもボールを持ちたがるのでドルトムントが得意としていたパスワークのリズムを乱し、相手にカウンターを食らう原因の1つになってしまっていた。
しかしライトナーは、自分から上がるというよりは、味方選手の流動的な動きに合わせるのがうまく、シャヒンのような長短を使い分けるパス能力は無いけれども、1点目の香川のヒールからゲッツェが得点した場面のように、前線に対してシンプルに素早くパスをつなげる事が出来るので、香川やゲッツェのプレイが見違えるようにイキイキしていた。
もちろん、香川を筆頭としたチーム全体のコンディションやコンビネーションが上がって来たおかげで、ドルトムント本来のプレスサッカーが蘇ってきたという面はあるし、ヴォルフスブルクがそれに対して無謀にもラインを上げまくった事でこの試合では前線においしいスペースが出来ていたわけで、一概にギュンドアンが不調の元凶であったとは断言できないが、昨シーズンの香川然り、そういうタイミングにめぐり合うというのもライトナーが持っている星なのかもしれない。
ヴォルフスブルクのほうは、ポラークやオクスといったSB的な選手をSHに入れ、長谷部に代えて何とサリハミジッチを右SBにするという奇策に出てきたが、期待されたはずの前方プレスがドルトムントには全く歯が立たず、ジョズエの周りのスペースを使われまくっての大敗。このパスワーク無視の布陣にするならボランチの一角を守備が弱いジョズエにする意味がなく、これならまだ長谷部を使ったほうがいいと思うんだけどね・・・
さて、ドルトムントはこれでようやく出遅れたCLに対しても反撃開始と行きたいところだが、まだバリオスが復調しきってないのが懸念材料ではある。この試合でもレヴァンドフスキに代わって74分から出場したが、代表戦が香川に対してやっていたように(笑)ドルトムントの選手がバリオスにボールを集めてゴールを決めさせようとしていたが、結局何度もあった絶好機を物に出来なかった。
レヴァンドフスキのGKのタイミングを外すシュート技術は凄いけれども、やはりバリオスのスペースメイク能力があってこそのドルトムントだと思うので、香川とゲッツェが成長した上でベストなバリオスが加わったサッカーが早く見たいものである。

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