「紙一重の積み重ねがこの結果」J1第31節 ガンバ大阪-鹿島アントラーズ

ナビスコカップ優勝を果たした鹿島と、3強による熾烈な優勝争いをしているガンバの対戦という注目の試合はガンバが1-0で競り勝ち、ともに勝利を飾った柏、名古屋との勝ち点差はそのまま維持される事になった。
鹿島は3日にナビスコカップで120分を戦い、なおかつ岩政の怪我と青木の出場停止で、SBの新井場がCBに入るという急造スクランブル布陣で臨んだのだが、前半は意外にも鹿島のほうがペースを握った。
遠藤が復帰して中盤のパスワークで攻めようとするガンバに対し、4-4の堅牢なゾーンを低めの位置に引いて、ガンバのサイドに対してプレッシャーをかけてミスを誘い、素早くボールを前線に集めてチャンスを作るのだが、大迫のファーサイドへの巻いたシュートがバーに当たるなどいつも通りの決定力不足で得点にならず。
ガンバはパスで相手を崩せないと見るや、ロングボールを前線に当ててセカンドボールを拾う作戦に切り替え、後半からは右SBの武井を上げて加地を入れた事もうまくはまり、サイドの主導権争いを鹿島から完全に奪い、後半12分にカウンターから藤春のクロスをラフィーニャがドンピシャで決めてとうとうガンバが先制点。
これで鹿島は攻勢に出るかと思いきや、やはりナビスコの疲れがあるのか一向にペースは上がらず、ガンバに試合のペースを握られたまま、後半29分に西が2枚目のイエローで退場してしまいジ・エンド。
結局は、FWの個人能力、2列目のコンディション、CBのコンビネーション、SBの能力差というチーム個々の要素で、少しずつガンバが鹿島を上回った結果が素直に出た試合になったのかなという印象。
この試合は、遠藤と柴崎という新旧天才ゲームメイカーの対決という事でNHKの中継でもスポットライトを当てていたのだが、残念ながら互いにそれほど良い出来ではなかったように思う。
ただ、遠藤は調子が悪いなら悪いなりにプレイを切り替えて、あまり動きまわらずに低い位置から長めのボールで組み立てる事でチームのリズムを作り出していたのに対し、柴崎は終始セカセカと動きまわる割には、ボールが行ったり来たりする早い試合展開について行けず、あまりボールを触ることが出来なかった。
もちろんコンディション面での差は若干あるのだろうが、ゲームの読み方と言うか経験の差という点では一枚も二枚も遠藤のほうが上手だったね。この悔しさを糧にしてもらって、是非U-22のアジア予選での活躍を期待したいところだ。