「ここが長友とチームの正念場」イタリア・セリエA第10節 インテル-ユベントス

1-2でチームが負けて、長友にも4.5とかいう低い採点を付けられた試合とあって、普通なら観戦をスルーしてしまうんだけど、やはり強豪相手の試合でないと見えてこない部分はあると思うので、とりあえず辛抱して見てみた。
インテルの今の不調は、大きく分けて2つの原因があると思っている。
1つは、ラノッキアやフォルランといった本来軸として働かなければならない選手が怪我で出れず、マイコンはようやく調子を取り戻しつつあるが、ミリートやサムエルの調子が落ちたまま。スナイデルも怪我がちで調子が安定しておらず、チームとしての形やコンビネーションを醸成する時間がない事。
そしてもう1つは、全体的に選手の老朽化が進み、運動量を活かしたプレスサッカーが出来ない事。
この試合の2失点も、本来であればピルロを中心としたユベントスのパスの出しどころを、インテルの前線や中盤がしっかりプレッシャーをかけなければいけないのに、簡単にフリーな状態にしてしまって、縦や逆サイドに展開されてしまうところから始まっている。
ユベントスが、どんな時でも長友のサイドに2枚のカバーが行くようにし、決してフリーな状態でサイドからクロスを上げさせなかった守備とは全くの対照的だった。
特に守備力に期待ができない、パッツィーニとスナイデルにチームの攻撃力を大きく依存してしまっているだけにインテルの守備に関する悩みは深い。
中盤でプレスがかからない上に、キブとルシオにスピードが無いのでCBが低い位置から揚げられず、その割にマイコンや長友が上がりまくるのでCBの周りはスカスカ。この試合でも終盤にキブがイエローをもらったが、CBがああいう状態であれば長友も上がりを配慮すべきでは無かったか。
その長友だが、この試合では非常に積極的な上がりが目についたが、かえってそれがチームとしては逆効果になっていたような印象だった。
前述のように、ユーベは長友のサイドを警戒していたので長友がフリーで抜け出しシーンはほとんど無く、かと言ってマイコンのように切れ込んだドリブルが出来るわけではないので、結局上がってボールをもらっても中に返すだけで、後はオトリとして使われるパターンがほとんどだった。
失点場面でも、確かに直接の原因はCBがユーベのFWを抑えきれなかった事にあるが、長友の能力を持ってすればきっちりと集中していればカバーが出来たはずで、長距離は走れても一瞬のダッシュをする意欲や判断力が落ちており、見た目以上に心身の疲労が出ているのかもしれない。
とは言え、サムエルやラノッキアは怪我だし、キブはCB以外やりたくないと言っている以上、当面長友が休めるような機会は訪れそうにないわけで、せめて無駄な上がりはひとまず置いといて、まずは守備に集中する事で体調を取り戻して欲しいところである。