「ドイツだけどイタリア」ドイツ・ブンデスリーガ第10節 アウグスブルク-ブレーメン

前節でアウェイながらラッキーな今シーズン初勝利を手にしたアウグスブルクは、ホームで攻撃的に戦うようになるのかと思いきや、現在5位と好調なブレーメン相手に取った戦術が、何ともクラシカルなマンマーク3バックだったのには驚かされた。
前節で左SBの位置に入った細貝は、この試合では3バックの前に3枚並んだ中盤のセンターに入り、主にブレーメンのトップ下で攻撃の鍵を握るマリンに対してほぼマンマークの形を取り、ピサロとローゼンボリの2トップに対してはCBの2枚が早めにマークをするという完全な専守防衛シフトを敷いてきたのだ。
このイタリア・プロビンチアのような戦術にブレーメンはまんまとハマり、ピッチが荒れ気味でボールが弾んでしまうのもあって本来のパスワークが発揮できず、3回ぐらいあった決定的な場面もGKイェンツシュのナイスセーブで防がれるなど運もない。
が、アウグスブルクも何度かあったカウンターでいいところまでは行くんだけど、前線にいまいち決め手になるようなスピードやテクニック、フィジカルを持った選手がおらず、最後の場面で防がれてしまうシーンが続く。
よく頑張ってるけどこれじゃ明らかにジリ貧だなと思いつつ後半になると、いきなり5分にブレーメンのDFにミスがあり、奪ったボールをヒールでつないで最後はベリングハウゼンが相手の股を抜くシュートを放ち、ブラインドになったGKの脇を抜けて何とアウグスブルクが先制してしまう。
その後は10分ほどアウグスブルクのペースは続いたが、徐々に運動量が落ちてくると中盤でプレスがかからなくなってセカンドボールを支配され、細貝らがDFラインに吸収されてバイタルエリアで基点を作られるようになる悪循環になって行く。
そしてとうとう68分にセットプレイから細貝が高さで競り負けたところに、ピサロにフリーで飛び込まれて同点に。そこからも圧倒的にブレーメンが攻め立てる展開が続いたが、そこにまたもイェンツシュが立ちはだかり、クロスに合わせた至近距離からのシュートを弾くなどの活躍で最後まで得点を許さず、アウグスブルクが何とか勝ち点1をもぎ取った。
前節に引き続き、よくこれで結果が出たなという試合内容で、偶然でしか得点力に期待できないところは変わらないけど、細貝も含めて最後まで集中を切らさず走りきった事は多少の自信につながったのではないだろうか。
細貝も終始地味や役回りだったが、マリンのマークの受け渡しをこなしつつ2列目からの飛び込みについて行ったり、その形からDFラインとの連携を取ったりと、戦術的に難しい仕事を破綻なくこなしていたと思う。今後の課題は、守備的な守備だけじゃなくて、攻撃的な守備から攻撃につなげて行けるかどうかだね。それが細貝のポジションで出来るようになれば、アウグスブルクの残留も見えてくるかもしれない。