日本がバルサに追いつくためには

昨日はうっかりナビスコカップの録画をし忘れたままに飲みに行っていて、仕方なく10/1から放送が始まったBSスカパーの「フットボールクラッキ」を見ておりました。
その中で、「日本人はバルセロナのようなチームを作れるか」というテーマで、小澤一郎さんと小野剛さんが対談をしていたのですが、その中で育成年代からバルサのシステムを取り入れるべきかどうかという論点がありました。
両氏共に、バルサのシステムをベースとしながらも日本的なオリジナリティを取り入れるべき、との結論になってましたが、個人的にはまずやるなら徹底的に模倣すべきではないかと思いますね。
徹底した模倣から細かい改善点を生み出していくのが日本人の得意技であるわけで、下手に途中から方向転換するよりも、バルサをお手本にするならば、指導者がバルサのメソッドを一から習得し、それでまず数年間は押し通してみるぐらいの覚悟が必要なのではないでしょうか。
とは言え、U-17のW杯を見ても、止めて蹴るという部分についてはバルサの水準に近いところまで既に到達しているとは思います。が、決定的に遅れている部分が置き去りにされたままなのも確かなので、そのポイントをどう埋めるかが今後は重要になって来ると思います。
その1つは、まず個々人の守備力。特に若年層では筋力の弱さゆえに単純な競り合いに負けるのは仕方ない面はあるのですが、現状ではコースを切って競り合いにすら行かない場合が多すぎます。単にコースを切るだけではボールを奪う位置が低くなるのは明白で、そこから時間をかけて攻撃するようでは得点力は低いままです。重心を低くして当たったり、タックルの技術である程度はカバーできるものなので、そういったスキルを教え込む事は絶対でしょう。
2つめは、GKも含めたロングキックの強さと精度。まあこれも筋力が関係してくる部分なので難しい部分ではあるのですが、やはり長くて強いパスが無くてショートパスだけでは相手の守備陣形も崩れないわけで、パスサッカーを貫く上で避けては通れない課題です。
3つめはミスを恐れない勇気。特にフィジカルが劣る日本の場合は、劣勢になった時にひたすらボールを跳ね返すだけだと、必ずどこかで失点につながるピンチになります。すなわち、どれだけ相手に押し込まれていてもほんの僅かな隙に縦パスを通して守備陣形を整える時間を作り出すことが必要になるわけで、そういう選択を躊躇なく行える勇気、それを可能にする練習の積み重ねが必要になると思います。
勇気という点ではシュートについてもそうで、筋力が劣ればミドルシュートを押さえて打つことが難しくなるので、その分ゴール前で1対1を打開するためにドリブルやフェイント、ワンツーといったリスクの大きなプレイが必要になって来るわけで、それを積極的にやろうとする姿勢と同時に、例えミスをしても常に全員でカバーする準備を整えておく事は言うまでもありません。
兎にも角にも、そういった高いレベルでの経験をどれだけ日常的に得られる環境を作り上げるか。若年層の世界大会で、日本選手が90分の中でさえ目覚ましくレベルアップして行く様を見ていると、メソッドどうこうよりも環境が第一だなということを痛感させられます。
協会もプリンスリーグや少年8人制など、様々な組織の改正を行なっているのは分かりますが、ユースW杯でしか得られない世界的な経験を日常的にどうやって獲得するのか、そこが今後の育成に問われて来る部分なのでしょう。